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56歳で小学校教諭へ、夢実る 最年長で合格の下別府さん

2018年10月16日掲載

教員採用試験の合格者で最年長下別府さん。音楽大会に向けた練習など、熱心に児童を指導している=12日午後、小林市・東方小

 県教委が本年度から年齢制限を「60歳未満」へと大幅に緩和した公立学校教員採用試験で、小林市・東方小の講師下別府和子さん(56)=小林市真方=が今月、小学校教諭の採用試験に合格した。合格者全体の最年長。「今なら子どもたちに『夢を諦めないで』って胸を張って言える」と笑顔で語った。

 高鍋町出身。小学5年の時の担任に憧れ、教師を志した。宮崎大を卒業後、講師を務めながら、採用試験に4、5回挑戦したが、不合格。29歳で結婚したのを機に教壇を離れた。子育てが落ち着いた40代前半で「また先生をしたい」と講師として復帰した。

 当時は採用試験の受験年齢の上限を超えており、正規教員への道は諦めざるを得なかった。講師は正規教員に比べて給与が低く、1年契約のため「次年度はあるのか」と不安もつきまとう。それでも「子どもたちとの触れ合いの中で毎日違うことが起きる」学校現場に魅力を感じ、10年以上講師を続けてきた。現在は東方小で音楽と理科の専科教員を務めている。

 昨年、採用試験の年齢制限が引き上げられると知り、「私のための制度かも。半分しかかなっていない夢をかなえるチャンス」と再挑戦を決意する。休日も勤務先に来て勉強したり、水泳の実技試験に備えて30年ぶりに練習したり。2次試験前には、模擬授業を同校の校長や教頭に見てもらい、アドバイスも受けた。

 迎えた11日の合格発表。県のホームページに掲載された自分の受験番号を「間違いじゃないよね」と何度も見返したという。「子どもたちが学校に来るのが楽しいと思えるクラスづくりをしたい。勉強や学ぶことの大切さも伝えたい。もちろん自分自身も学び続ける」と抱負を語った。