加江田川の支流で確認されたシオマネキ=4日午後、宮崎市加江田
ごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高いとして県レッドデータブックの絶滅危惧ⅠA類に指定されているスナガニ科のシオマネキが、宮崎市加江田の加江田川河口から数キロ上流の支流に生息しているのを同市学園木花台桜1丁目の無職、猪崎隆さん(69)が発見した。県総合博物館によると、通常は海に近い干潟などで見られるが、内陸部で確認されるのは非常に珍しい。
シオマネキは、雄は片方だけ大きな赤いはさみを持ち、潮の干満で淡水と海水が混ざり合う汽水域に生息する。県内では、同川河口、串間市の本城干潟や延岡市の櫛津干潟などで確認されている。
猪崎さんは5月末、自然観察中に発見。大きいものは甲羅の幅が4センチほどで、大小10匹以上が群れるように見られることから、交配や世代交代を繰り返して定着しているとみられる。
内陸部での発見について、同館学芸課の外山真樹主査は、シオマネキの幼生が上げ潮に流され、何らかの形で生き残った可能性を指摘。また、一帯は日当たりが良く、餌となる微生物のケイソウが増えやすい環境にあることや、周囲に生えるアシも目隠しともなることから、「天敵のサギやシギなどからも狙われにくく、繁殖しやすい環境になっているのではないか」と推測する。
猪崎さんは「偶然発見して驚いている。生息している場所は小さいので、大切に見守りたい」、外山主査は「海から離れた内陸部で生息できる能力があることは驚き。干潟と違い規模は小さくてもこうした環境が残っているのは、今後生息域の広がりを期待できる」としている。