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母娘で「医」の道へ 新たな一歩

2017年3月25日掲載

宮崎大の卒業式で笑顔を見せる秦博子さん(左)と娘の長島陽子さん(右)=24日午前、宮崎市・シーガイアコンベンションセンター

 宮崎市・宮崎大で24日あった卒業式で、母と娘が新たな一歩を踏み出した。同大学付属病院に非常勤の医局員として勤務する産婦人科医の秦博子さん(53)と、一人娘で医学部6年の長島陽子さん(25)。父の医院で働きながら研究に打ち込んできた博子さんはこの日、医学博士号の学位を受けた。卒業を迎えた陽子さんと喜び合い、「地域の医療を支えたい」と誓った。

 博子さんはかつて県外の医大大学院で婦人科の悪性腫瘍について研究していたが、育児などの理由で退学。専業主婦となった後、約20年前に地元の宮崎市に戻り、同大学付属病院の産婦人科や、父が営む産婦人科医院で働いてきた。

 博士号を取得しようと思ったきっかけは6年前、陽子さんが同大学に入学したこと。当時、同大学付属病院の院長だった池ノ上克(つよむ)学長らにあいさつに行った際、「博子さんも学位(博士号)を取らないか」と声を掛けられた。

 戸惑いや不安もあったが、少なからず博士号に未練もあり、取得を決意。日向夏ミカンが女性の更年期による骨粗しょう症の予防効果があることなどを調べる共同研究に携わった。父の医院での勤務は続けており、週1回の研究時間を確保するのに苦労したという。

 何度も挫折しそうになったが、同病院の鮫島浩病院長から「陽子さんが先に医者になってしまうよ」とハッパを掛けられ、どうにか踏みとどまった。「ここまで来られたのは先生の指導や周りの支えがあったから。諦めなくて良かった」とこれまでを振り返る。

 一方の陽子さん。同じ大学内で博子さんの姿を目にすることはなかったが、「母が頑張っているから自分も頑張らないと」と6年間を全うした。4月からは同大学付属病院で研修医として働く予定で「恩返しの意味も込め、将来は母と同じ産婦人科医として地域を支えたい」と意気込む。

 学位記を受け取った博子さんは今後、父の医院で引き続き診療に当たる。「研究させてもらい、視野が広がった。あらためて真摯(しんし)に医療を追究していきたい」と感無量の様子。娘の晴れ姿に「仕事柄、なかなか学校行事にも顔を出せず、迷惑を掛けることも多かったが、ここまで大きくなってくれた」と誇らしそうな母の顔も見せた。