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亡き母から届いた年賀状 20歳迎えた我が子へ

2017年1月9日掲載

「母のように強い人間になる」。亡き母から届いた年賀状を手に決意を新たにする永友さん=川南町川南

 20歳の我が子へ-。今年、成人を迎えた川南町川南、会社員永友拓弥さんの元に、2012年3月にがんのため46歳の若さで亡くなった母直美さんからの年賀状が届いた。母は「これから進む道を必死に生きてほしい」と、大人になった息子へ、励ましの言葉をつづっている。永友さんは「字の癖や言葉の使い方、久しぶりに母を近くに感じることができた。甘えん坊だった子どもの頃を思い出す」と頬を緩める。

 年賀状は永友さんが小学6年だった8年前、担任が保護者に呼び掛けて企画。当時のクラスメートが20歳を迎える年に郵送され、永友さん宅にも元旦に届いた。その年賀状は差出人不明だったが、手に取った瞬間に懐かしさが込み上げてきた。「とってもマイペース」「バスケットに夢中な子」。「6年生のたっくん」へ宛てた文面に、優しい母の顔が浮かび上がる。「タイムカプセルを開けたみたいだった」と永友さん。母の温かさに触れ、胸がいっぱいになった。

 母の異変を感じたのは、中学3年の時だった。「決して弱音は吐かない、強い母だった」といい、入退院を繰り返しながらも「風邪をひいた」と気丈に振る舞っていた。だが、卒業を間近に控えた時、全身にがんが転移し、末期だと知った。それから間もなく、母は息を引き取った。出席を約束していた卒業式の2日前だった。

 永友さんは高鍋農業高を卒業後、地元企業に就職。「母が思うような大人になったかな」と、社会人2年目の自身に問い掛ける日々だ。異動による環境の変化や持病のアトピー性皮膚炎の悪化で「辞めたいと思うことは何度もあった」。そんな弱気な自身を予見していたように年賀状の中の母は呼び掛ける。「努力は裏切らない」

 3日にあった同町の成人式で永友さんは司会の大役を見事にこなした。「母以上に苦しい思いをした人はいない。アドバイスを胸に、マイナスをプラスに変えられるような強い人間を目指す」。決意を胸に、大人への一歩を踏み出した。