めいつ漁民センターに展示されている戦艦大和ゆかりの黒板
2014年に日南市南郷町の自営業前田茂さん(69)方で発見された戦艦「大和」ゆかりの黒板が、同市のめいつ漁民センターで展示されている。発見直後、鑑定に当たった呉市海事歴史科学館(広島県、愛称・大和ミュージアム)の特別企画展で一般公開されたが、県内では初披露となる。
旧日本海軍最大の戦艦大和は太平洋戦争末期の1945(昭和20)年4月、東シナ海で敵の攻撃に遭い沈没した。戦後の47(同22)年、前田さんの父繁雄さん(2004年死去、享年84)所有のカツオ船が鹿児島県甑島列島の周辺海域で操業中、漂流物として黒板を発見した。
繁雄さんは黒板が手元にある経緯は話さず、長く仕事場に掛けて使っていたという。その後、前田さんがたまたま裏面に書かれた「軍艦大和第十九分隊長」の文字を目にし、繁雄さんの説明もあって大和ゆかりの品であるらしいことが分かり、14年の鑑定で確認された。
黒板は木製で縦40センチ、横55センチ。鑑定した同科学館によると、裏面にある「第十九分隊」は艦内で主力エンジンを補完し、電力などを賄う補機の維持管理などを担当。黒板は補機室に置かれ、分隊長が隊員への連絡事項などを書き込んでいたと思われる。「大和の漂流物を拾った例はほとんどなく、大変貴重」と評価した。
同科学館での一般公開後、広く目に触れる機会はなかった。今回、前田さんが「ぜひ地元の人にも見てほしい。よそからも多くの人が南郷に足を運んでくれれば」と公開を決めた。9月中旬から同漁民センター玄関でガラスケースに納められ、裏面の文字も確認することができる。