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宝塚から警察へ 健全成長願い奔走

2017年4月24日掲載

少年補導職員として宮崎北警察署に勤務する元タカラジェンヌの譲原さん

 少年の非行防止や立ち直り支援に取り組む宮崎北署の少年補導職員譲原早理(ゆずりはらさり)さん(31)=宮崎市=は、元タカラジェンヌという異色の経歴を持つ。17歳でデビューしたが「新しいことに挑戦したい」と、会社勤務などを経て昨年、警察組織に飛び込んだ。15歳で親元を離れ、華麗な一方で規律厳しい世界に身を置いた譲原さん。悩みや問題を抱える子どもたちに「普通と違う10代を過ごした自分だから伝えられることがある」と力を込める。

 クラシックバレエを習っていた小学生のころ、宝塚歌劇団の公演を見て華やかな世界に憧れた。中学を卒業した2001年、競争倍率20倍の難関試験を突破し、宝塚音楽学校(兵庫県宝塚市)に入学した。

 学校では歌やダンスの練習に明け暮れた。舞台を意識した立ち居振る舞いを求められ、上級生の前では私語禁止と規律も厳しかった。17歳で同歌劇団に入団、星組の娘役となった。当時は娘役トップだった女優の檀れいさんから指導を受けたこともある。

 初舞台は2千人超の客で埋まり「緊張と重圧で覚えていない」。4年間で数々の舞台に立ったが、10代半ばから宝塚一筋だったことで「別の道もあるのでは」と感じ始め、21歳で退団。都内の化粧品会社での勤務を経て6年前、宮崎市に帰郷し、洋服店で働いた。

 昨年7月、県警捜査2課の事務補助に就いた。自分の中で警察の規律正しさが宝塚と重なり、当時のように成長できると思ったからだ。子どもが巻き込まれる事件が、全国で絶えないことに関心が向き「経験を生かして組織に貢献できる仕事をしたい」と決意。同12月、宮崎北署生活安全課の少年補導職員になった。

 同職員は非常勤で、少年少女の相談対応や被害者の保護、街頭補導などに従事する。譲原さんは小学校で非行防止教室の講師を務めたり、非行少年らを立ち直らせる農業体験を一緒に行ったりと奔走。同課の松浦弘国課長は「豊富な経験を生かし、少年少女の心に触れる、警察官にはできないアプローチを」と期待を込める。

 譲原さんは「宝塚時代のエピソードや、人生にはいろいろな道があるということを伝えられると思う。心を開いてもらい、健全な成長を促せるよう支えたい」と先を見据える。