「水平線の花火と音楽FINAL」を盛り上げた泉谷しげるさんのステージ=16日午後、宮崎市のサンマリーナ宮崎
口蹄疫からの復興を後押しする野外イベント「水平線の花火と音楽FINAL」は16日、宮崎市のサンマリーナ宮崎であった。発起人の泉谷しげるさんら人気アーティストによる熱のこもったステージが、県内外から詰め掛けた1万5200人を魅了。「宮崎を大いに勇気づけてくれた」「毎年の楽しみが減って寂しい」。来場者からは、泉谷さんへの感謝やイベントの終了を惜しむ声が聞かれた。
このイベントは泉谷さんが中心となって企画し、2010年にスタート。「(口蹄疫で殺処分された)県有種雄牛の数が戻るまでやる」という当初の約束通り、種雄牛の頭数が58頭に増え、口蹄疫発生前(55頭)の水準に回復した今年が最後の開催となった。
ステージには泉谷さんのほか、女優としても活躍する夏木マリさんや、歌手のMayJ.さんらが登場。串間市出身のいであやかさんら本県出身アーティストも出演し、会場を大いに盛り上げた。都城市から家族4人で訪れた桜井雪乃さん(9)は「『アナと雪の女王』の歌が聴けてうれしい」と笑顔。団体職員の父俊一さん(49)は「宮崎の風物詩となり、毎年楽しみにしていたのに…」と名残惜しそうに語った。
イベントの途中には県民からの感謝の思いを込め、泉谷さんに県知事感謝状や県産畜産物などが贈られた。受け取った泉谷さんが「必要になったら呼んでくれ。いつでも駆け付ける。僕は宮崎が大好きだ」と呼び掛けると、大きな拍手と歓声が沸き起こった。
川南町の酪農家、吉松孝一さん(60)は「飼っていた牛がいなくなり、本当につらい時に支えてくれた。感謝しかない」と目に涙を浮かべ、「このイベントには口蹄疫の風化を防ぐ役割もあった。泉谷流の励ましは、県民の心にも響いたはず」と感謝した。
大トリとして泉谷さんがステージに立つと、観客は総立ちに。音頭に合わせ手拍子したり、跳びはねたりと会場が一つになった。1万2千発の花火が打ち上がった後も、出演者と一緒になって演奏を続け、観客を見送っていた。
同町の和牛繁殖農家、河野正剛さん(61)は「被害を受けた農家が元気に畜産を続けることが、泉谷さんへの恩返しになる。まだまだ頑張ろうと、あらためて思った」と力強く語った。