ホーム 社説

補正予算審議

2023年11月24日
◆目立った首相の「自分本位」◆

 2023年度補正予算案を巡り衆院予算委員会が開かれた。所得税減税を柱とする政府の経済対策には、与党からも注文が付いた。自民党5派閥の政治資金過少記載問題では、岸田文雄首相は派閥会長でありながら人ごとのような答弁を続けた。

 難局に直面しても首相は主体的判断をしない。次の衆院選勝利、政権長期化には何が有利かという「自分本位」の姿勢ばかりが印象に残った。それが見透かされたからこそ各種世論調査で内閣支持率が軒並み20%台に落ち込んだのではないか。

 減税について首相は、税収増の国民への還元と言うが、実際の財源は国債発行だ。立憲民主党は「スーパーなら還元セールでなく出血セール。借金経営の国が毎回還元セールではやっていけない」と批判。首相は「還元が目的ではない。何のためにするかだ」とまともに反論できなかった。

 与党公明党も「所得税の増収を還元するなら、消費税の増収も必要な社会保障に使うべきだ」と低賃金で離職が相次ぐ介護職員のさらなる処遇改善を要求。同党はさらに大阪・関西万博の建設費膨張を巡っても「大阪市民は1人当たり1万9千円負担することになる」と国の管理責任を指摘した。

 政権は「歳出構造を平時に戻していく」と表明しながら、物価高対策以外の予算が圧倒的に大きい大型補正予算案を提出した。物価高の要因である円安を放置する一方、選挙目当ての疑念が消えない景気刺激策が逆に物価高を後押ししないか。そういう懸念にも納得いく説明は聞けなかった。

 一方、自民5派閥は、政治資金収支報告書に計約4千万円分を過少記載したとして東京地検特捜部に告発された。安倍派は約1900万円、最少の岸田派でも約200万円過少だった。意図的、継続的に行われていた可能性も指摘され、刑事責任を問われかねない。

 首相は岸田派会長として派閥の責任を負う。にもかかわらず「私からは各団体が適切に説明するよう幹事長に指示した」と言っただけだ。立民は「現職首相が派閥トップとして金集めするのはおかしい。辞めるべきだ」と要求。だが首相は「現職首相で派閥会長を続けた例はいくつもある」と言って拒んだ。

 「前例がある」は理屈にならない。政権維持へ政治力の基盤である派閥の実権を握っていたいのだろう。茂木派事務総長の新藤義孝経済再生担当相も「事務総長だが閣僚として活動は制限されている」と、説明を拒否した。そうまで言うなら入閣時に事務総長を辞すのが筋だ。だが、派閥会長を続ける首相では新藤氏を諭すこともできまい。

このほかの記事

過去の記事(月別)