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県人会世界大会

2023年10月28日
◆活性化へつながりを深めて◆

 古里へようこそ、お帰りなさい―。国内外にある33県人会が一堂に集う県人会世界大会が27日、宮崎市で開幕した。約250人の県人会関係者を含む計約650人が参加。中には高齢化や会員減少に悩む県人会もあるが、本県との橋渡し役としてつながりを深め、活動の活性化の励みにしてほしい。

 海外県人会のうち、会員数が約250人と最大規模、1949年発足の最も長い歴史を持つブラジル県人会(蛯原忠男会長)。県国際・経済交流課によると、ブラジル県人会が創立70周年を迎えた2019年、サンパウロ市での記念式典に出席した河野知事に会員から打診があり、世界大会開催の端緒になったという。

 国内各地で近年、各県出身者による県人会世界大会が開催されるようになってきた。移住2世、3世以降の世代交代が進む中、若い世代も古里の魅力をじかに感じて活動を発信し、交流を深めたいとの思いが背景にあるのだろう。

 とりわけ新型コロナウイルス禍に席巻された20年以降は思うように帰郷できず、海外生活を送る出身者にとって県人会の交流は支えにもなったはずだ。古里で親睦を深め、ゆったりと宮崎を満喫してもらいたい。

 世界大会初日は、県との連携についての意見交換、若い世代による活動報告に続いて記念式典があった。中でも県人会活動の様子が楽しくリアルに伝わってきたのは海外県人会プレゼンテーション。懇親会など会員同士が交流する場を定期的につくり、観光・物産イベントや県産品の販路拡大に協力するなど、活動の広がりが見てとれた。

 今年2月、海外初出店となった県のアンテナショップ「香港みやざき館KONNE」開設には県人会員らも尽力。4月に発足したばかりのホーチミン市県人会は「人口が1億人を突破し、その平均年齢は31歳。明るくエネルギッシュな南国気質を知ってほしい」とアピール。

 実習船でハワイを訪れる宮崎海洋高の生徒たちをもてなすなどしてきたハワイ県人会は盛大なボン・ダンス(盆踊り)大会などを紹介。「宮崎の県民性であるてげてげ精神で、横と縦のつながりをじわじわと広げていきたい」と抱負を語った。

 初期の海外移民には開墾や戦争など、厳しい時代をくぐり抜けた努力の歴史がある。国内外を問わず、現在の地位を築くまでには先人たちの奮闘があったことだろう。今後の県人会活動では経済振興のみならず、移住先の歴史や風土、県出身者たちの物語を発掘することも有意義だ。大会で深まったネットワークをフル活用し、新たな活動を切り開いてほしい。

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