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NIEの有益性

2022年8月6日
◆授業の工夫で教育が変わる◆

 教育現場での新聞活用策を考える第27回NIE全国大会宮崎大会(日本新聞協会主催)の分科会は5日、宮崎市の宮崎公立大であり、2日間にわたって開かれた同大会が閉幕した。パネルディスカッション(4日)と分科会などで確認できたのは、学びの質と求められる学力が激変する中で教材として新聞を活用する有益性だった。

 継続してNIE活動に取り組んだ結果、「子どもたちが変わる」との現場教師の実感は大きいようだ。情報を選び取る力、思考力、表現力、共感力といった多様な観点から、子どもたちの成長を喜ぶ声が語られた。教育実践とヒントが共有されたのを受け、NIE活動のさらなる広がりに期待したい。

 教師から子どもへ一方方向で知識を伝達する受け身型の授業形式は今や、変化を迫られている。子どもたちが流動化する次代を生き抜く力を付けるためには、課題や問題を見つけて背景を探り、解決にたどり着く探究学習が不可欠となっているからだ。主体的、対話的な教育環境が一層重要性を増している。

 分科会に登壇した日之影町・日之影小の田崎香織教頭は新聞を活用した教育効果について、心と心のつながりを提起した。「興味を持った新聞記事の要約と感想を1分間で言う。友達の好きなことは何かな、記事でどんなことを考えたかな、などと人の心を考えるようになる」。広範囲にわたる新聞記事の中から子どもたちが選び取る情報は多種多様という。家でも新聞は読めるが、学校で新聞を読むことの意義は、他者の存在と多様性に気づくことと言えそうだ。

 「今、ここ」を過去や未来、世界や国内とつなげ、社会の動きに敏感になる。視野を広げられるのが新聞活用の利点の一つにも挙げられるだろう。国富町・八代中の柿木一光教諭は「インターネットで情報を得るのは確かに早い。でも新聞だと、付随された関連情報にまで目が届く」と、情報の広がりが思考の深まりに導く点を指摘した。

 新聞活用がゴールではないが、強調したいのは、新聞をツールに使おうと試みれば教え方が変わるということだ。分科会で指導助言した県教委北部教育事務所の島崎博英指導主事は「子どもたちに問い掛けていく授業づくり」の重要性を述べた。「子どもたちにただ『読みなさい』と言うだけでは読まない。教材の選び方、授業での発問の仕方や進め方まで、授業の裏側には至る所に工夫が必要」

 教え方が変わる、教育が変わる、子どもたちが成長する。変革の波に新聞が貢献できることとは。共に模索を続けたい。

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