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NIE全国大会

2022年8月4日
◆社会を共に築く力育みたい◆

 教育現場で新聞を活用する機会を広げてもらおうと、第27回NIE全国大会宮崎大会(日本新聞協会主催)が4、5日、宮崎市で開かれる。本県では初開催。ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さんによる講演のほか、NIE活動の実践紹介やパネルディスカッションが予定されている。

 NIE(教育に新聞を)活動は「ニュースペーパー・イン・エデュケーション」の略で、1930年代に米国で始まった。85年に静岡で開かれた新聞大会で提唱され、徐々に国内各地で実践が広がった。全国大会ではその楽しさ、奥深さに触れ、機運を高める機会にしたい。

 世界や国内、地域のニュースから解説記事、読者の寄稿や作品などさまざまな分野の情報を一覧できる新聞は、子どもたちに格好の出合いをもたらす場だ。紙面で新しく知る人の一言に背中を押してもらえたり、出来事の不思議や謎を見つけたり、ニュースの裏側にある新事実に納得したりと、予期せぬ喜びに出くわすことができる。

 自分の興味あるキーワードから検索していくデジタル機器ではなかなか味わえない、この遭遇感と未知への広がりが新聞の醍醐味(だいごみ)の一つだろう。

 新たな出合いは子どもたちの視野を広げ、共感力や思考力を深めてくれるに違いない。多忙な学校現場だから、わずかな時間でもいい。楽しみながら新聞の活字に触れ、皆で意見を交わす体験を続けてほしい。

 こうした積み重ねによって、子どもたちが世の中には多様な価値観があることを知る。自分の考えも大切に、同時に周囲の人の意見も尊重し、共に心地よく安心して過ごせるように社会をつくり変えていく力をはぐくめる基盤になるだろう。 短期的な視点では、新聞を読む頻度が高いほど学力が向上する、表現力や語彙(ごい)力を高められるといった調査結果も多く存在する。だが、自らの人生を切り開き、社会を変革する力を持った人材を育成できるという長期的視点は、今後のNIE活動にさらに重要性を増すのではないだろうか。

 学習指導要領では探究的な学習が重視されるようになり、新聞を授業に取り入れる活動が広がった=写真。一方で、情報通信技術(ICT)の配置も進む。デジタル機器と新聞、それぞれの特長をどう位置付けて教育に生かすか、子どもの育ちを支えるか、全国大会ではその最前線が見られる。多くの子どもや教師たちが新聞に親しみ、それぞれの生き方に化学反応を起こすような読み解き方を養うヒントに巡り会えるだろう。

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