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知事会のコロナ提言

2022年8月2日
◆国は負担軽減要望に応えよ◆

 新型コロナウイルスのオミクロン株の派生型BA・5による感染が急拡大する「第7波」のさなか、全国知事会議が奈良市で開かれ、知事らからは国への厳しい意見が相次いだ。政府は命を守るためにも、保健所や医療現場の負担軽減に早急に取り組むべきだ。

 1日当たりの新規感染者が20万人を上回って過去最多を更新し、病床使用率が医療逼迫(ひっぱく)の目安とされる50%超の自治体が増加。国は都道府県が自主判断で発信できる「BA・5対策強化宣言」の新設を打ち出した。危機感を強める地方側の要請に沿った内容であり、地域の実情に合わせ外出自粛などの対策を知事は推進してほしい。

 知事会議で問題とされたのは、コロナが感染症法で2番目に危険度の高い「2類相当」に位置付けられている点だ。知事からは季節性インフルエンザに相当する「5類」への引き下げを求める意見も出た。2類相当は結核と同様な扱いとなる。1件ずつ国に報告する業務のため、医師らは時間を割かねばならない。保健所も入院調整などが求められる。その時間がなければ、重症化リスクが高い患者と向き合うことができるという切実な思いが現場にはある。

 知事会によれば、何度も引き下げを要望しているが、国はこれまでかたくなだったという。知事会は今回、感染者の全数把握の要否など感染症法上の取り扱いについて検討するよう求める緊急提言をまとめた。こうした動きを受けて国はようやく、感染者の全数把握見直しを検討し始めた。

 もう一つの問題が、発熱外来などで抗原検査キットを配布し、自ら検査して健康観察を受ける体制を整備すると国が追加対策で打ち出したことだ。これに対して、配り方が明確に示されておらず、もし医療機関だけに配れば病院の負担がさらに増えるとの懸念が示された。

 知事会は会議の途中に日本医師会(日医)と協議し、キットの円滑配布での連携に合意した。自治体が専用窓口で配ったり、希望者の自宅に郵送したりすることを想定している。この合意は、国の追加対策が生煮えだったことの証左だ。

 安倍政権下で2014年にスタートした地方創生では、東京一極集中の是正策として、本社機能の移転を経済界に要請し税制優遇で応援したものの、成果は上がっていない。岸田政権のデジタル田園都市国家構想の実現には、大手企業の東京に住む社員らの地方移住が不可欠だ。

 コロナや地方対策などはその存続にかかわる問題だ。危機を突破するには、国がさらに最前線に立つ知事会などと連携を深めることが前提になる。

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