ホーム 社説

本県の文化振興

2022年1月8日
◆国文祭・芸文祭の経験生かせ◆

 本県は昨年、国民文化祭(国文祭)と全国障害者芸術・文化祭(芸文祭)をやり終えた。五輪・パラリンピックと同じく、「その後」が大事だ。経験を無駄にせず県民の日常や地域の未来につなげるため、今年を「みやざき文化元年」と位置付けるぐらいの気持ちで、文化振興への道筋をつくりたい。

 両祭は「記紀編さん1300年記念事業」の集大成として開いた。新型コロナウイルス流行で1年延期となったが、多彩な催しは地域を活気づけ、本県文化を再発見する機会になった。

 経験を生かすためにはまず、それぞれの取り組みや来場者の反応、見えてきた課題などを総括することが不可欠だ。県は主催者や来場者らにアンケートなどを行った。結果を分かりやすく示し、文化振興について県民が考える材料を提供してほしい。

 中でも芸文祭では、障害のある人もない人も創作や鑑賞を楽しめる環境づくりへの提案がなされた。障害者芸術に興味のある人を対象にした鑑賞ツアーなど工夫された催しや、舞台上で輝く出演者の姿は共生社会へのヒントを地域に与えた。関係者は準備段階からさまざまなことに気付き、課題も見えただろう。それらの”収穫”を文化活動支援はもちろん、教育、まちづくりなど各種施策に反映させていくことが重要だ。

 また両祭に参加しなかった人、参加したくてもできなかった人の声を聞く必要がある。関心を持つきっかけがない、情報がない、料金や会場への距離が壁になっている―。それらの声は文化振興のため何に取り組むべきか考える手掛かりとなる。

 県は両祭による文化活動の盛り上がりの維持・発展などを目的に「県文化振興条例(仮称)」の制定を目指し、2月定例県議会での提案を予定している。案に対し意見を交わす「みやざきの文化を考える懇談会」では文化関係者から「文化芸術の格差に目を向け、弱者に手を差し伸べる決意を示すべき」「関心がない人も巻き込める条例を」といった要望が上がった。条例への議論を一つの契機に、誰もが文化芸術に触れられる環境づくりを力強く推進したい。

 さらに国文祭でも多くの催しがあった神楽に関しては、2026年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録に向けた動きがある。魅力を発信する上でも、県民が神楽について知る機会を増やせないか。

 コロナ禍が長期化し、気持ちも沈みがちだ。心に潤いや癒やしが必要な今こそ文化芸術に触れたい。図書館など身近な文化施設の奮闘にも期待している。

このほかの記事

過去の記事(月別)