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菅原氏議員辞職

2021年6月4日
◆首相自ら検証と説明尽くせ◆

 選挙区内の行事で祝儀や会費名目で現金を配ったとして、東京地検特捜部から公選法違反容疑で任意聴取を受けた前経済産業相の菅原一秀衆院議員が議員辞職した。菅原氏は秘書が代理で香典を配ったとの疑惑が2019年10月に週刊誌報道で発覚。就任からわずか1カ月半で経産相を辞任していた。

 昨年9月に菅義偉首相が就任して以降、鶏卵業者からの収賄で在宅起訴された吉川貴盛元農相、参院選買収で逮捕・起訴された河井克行元法相と妻の案里元参院議員―に続く4人目の議員辞職となり、異常事態と言うほかない。

 辞職などに伴う衆参3選挙で自民党は金権批判にさらされ、全敗。首相は「正すべき点はしっかり正していきたい」と語った。しかし具体的な行動はなく、自民党も幕引きしか頭にない。首相が自ら先頭に立って「政治とカネ」を巡る一連の疑惑・事件について検証と説明を尽くすべきだ。

 香典問題で、特捜部は菅原氏が秘書を通じて17~19年に選挙区内の有権者に香典や枕花など計約30万円に上る違法寄付を確認したものの、経産相を辞任し、記者会見で違法性を認めて謝罪したことなどを考慮し昨年6月、起訴猶予にした。これに、くじで選ばれた有権者で不起訴の妥当性を審査する検察審査会が待ったをかけた。

 事実認定は絞り込みすぎで、将来の選挙も念頭に置いたものと考えるのが自然と指摘。「国会議員はクリーンであってほしいという国民の切なる願いにも十分配慮すべきだ」とした上で「起訴相当」との議決を公表した。今年3月のことだ。その結果、特捜部は公選法違反の罪で略式起訴する方針に転じた。

 だが特捜部の捜査を一転させた検審の「市民感覚」と、首相や自民党執行部の姿勢との乖離(かいり)は極めて深刻だ。二階俊博幹事長は記者会見で「政治とカネはずいぶんきれいになってきている」と述べた。菅原氏による辞職の意向が伝えられる中での発言だ。自民党の無反省ぶりを端的に示している。

 菅原氏を昨秋、衆院厚生労働委員会の与党筆頭理事に起用したのもそれゆえだろう。特捜部に聴取されて間もなくの今年4月に辞任している。吉川元農相、河井元法相、菅原前経産相を任命した責任は安倍晋三前首相にある。だが官房長官だった菅氏は河井、菅原両氏の入閣を後押しした。

 誰もが「党に迷惑をかけたくない」と、お決まりのように離党するものの、説明責任を果たそうとはしない。政治を巡る不信の連鎖を断てるかが問われている。首相・総裁として一政治家として、菅氏の責任は重い。

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