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店頭価格総額表示へ

2021年4月7日
◆税負担把握しづらい難点も◆

 商品やサービスの店頭価格について、消費税を除いた本体価格のみの表示を認める特例が3月末で終了し、4月から税込みの「総額表示」が義務付けられた。最終的にいくら支払うのかが明瞭になる一方で、消費税の負担額を把握しづらい問題は引き続き残る。小売事業者の理解を得ながら、分かりやすい価格表示へ改善を図るべきだ。

 税抜き価格のみの表示は2004年4月以降は認められていなかった。しかし、14年4月に消費税率が5%から8%へ引き上げられ、その半年前から特例措置として導入された。消費税率の漸進的な引き上げがその後も見込まれ、値札の張り替えなど小売店の負担に配慮したためで、特例表示には「誤認防止措置」を取ることが求められた。19年10月に消費税率が10%へ引き上げられた後も、特例は時限的に維持されていた。

 特例による税抜き本体価格の表示が広まった背景には、値札の交換などの技術的な問題だけでなく「できるだけ安く見せたい」との小売店側の心理が働いた点は否定できまい。特例表示が長く続いたため、消費者は「最終的にレジでいくら払うのか」が分かりづらい状態に置かれてきた。現在は税率が10%でまだ計算しやすいが、8%の際には容易でなかった。利便性が向上することを期待したい。

 それでも税負担額を正確に把握しづらい難点は残る。総額表示で国が求めるのは「消費税額を含めた価格の表示」であり、必ずしも含まれる税額を明示する必要はないためだ。

 今回の特例終了に当たって全国商工団体連合会(全商連)は、価格の表示方法は「事業者の裁量にゆだねられるべきだ」として総額表示の義務付けに反対。その上で、総額表示は「物価に消費税を紛れ込ませて痛税感と納税者意識を薄れさせる」と批判した。

 日々の消費を通じて多大な税負担をしているのに、それが自覚しにくい総額表示の問題点を的確に言い当てていよう。

 消費税は景気にかかわらず安定的に確保できる特徴があり、21年度の税収見積もりは20兆2840億円と各税目で最大。年金をはじめ日本の社会保障を支える基幹的な税金である。

 税率10%への引き上げに際して食品など一部に軽減税率が適用されたものの、低所得者に負担感が重い逆進性がある。

 少子高齢化の加速に加え危機的な日本の財政状況を考えれば、再度の引き上げを含めた消費税の在り方が将来問われるのは避けられない。そのときに備えて一人一人が日ごろから消費税について考えることが大切であり、その第一歩が税額の明示ではないだろうか。

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