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池江選手五輪代表に

2021年4月6日
◆諦めない気持ち輝いた瞬間◆

 競泳の池江璃花子選手が日本選手権の100メートルバタフライで優勝し、東京五輪のメドレーリレー選考基準を満たして代表選手に決まった。闘病生活を続ける人たちにも勇気を届けたレースだった。

 2年前に白血病と診断され10カ月に及ぶ入院生活を送り、体重は15キロ以上も落ちた。たくましかった筋肉をすっかり失い、病状の安定と回復を待ってトレーニングを開始したものの、当初は東京五輪はとても間に合わないので2024年パリ五輪を目指したいと話していた。

 そこから一歩一歩、筋肉を作り上げるトレーニングと泳ぎの技術を元通りにする練習を続けてきた。ようやくレースにたどり着いたのは昨年8月だ。日本選手権出場を明言してから、まだ2カ月もたっていない。

 それでも、出場するからにはいい位置を狙いたいので目標を決めるとも語っていた。東京五輪の出場権を勝ち取るため、入念な準備を進めたことがうかがえる。今回の優勝は諦めない気持ちが輝いた瞬間だった。

 レース後、国際通信社を含む海外のメディアは「白血病を克服し逆境をはねのけた」「快挙であり、素晴らしい希望のメッセージ」と伝えた。市民からも「勇気をもらった」「あまりにもドラマチック」などの声が聞かれた。

 新型コロナウイルスの感染がやまず、社会の緊張感は解けない。晴れやかな笑顔が広がる機会が少なくなった状況だからこそ、池江選手の日本チャンピオンへの復帰と五輪出場資格獲得は久しぶりの明るいニュースとなった。

 共同通信が3月後半に実施した全国電話世論調査で、今夏の東京五輪・パラリンピックの開催の是非を問う質問に対して、開催すべきだとの回答は23・2%、中止すべきだは39・8%だった。その中で聖火リレーが福島県から始まった。

 今回の池江選手の五輪代表決定によって、一気に五輪開催への機運が広がってほしいとの期待もあるだろう。しかし、それはやや早計かもしれない。

 多くの市民が池江選手に拍手を送ったのは、五輪の代表を決めたこと以上に、あそこまでか弱くやせ細った彼女がたくましくよみがえり強豪に競り勝ったというスポーツの持つドラマ性に魅了されたからだろう。

 コロナ禍によって東京五輪・パラリンピックが翻弄(ほんろう)され続け、スポンサーの意向や商業的要素が強まるスポーツイベントへの関心は正直薄れがちだ。だが、池江選手が示したトップアスリートとしての真摯(しんし)な姿の意味は大きい。目標に向かって諦めない気持ちの大切さ、スポーツの醍醐味(だいごみ)がそこにある。

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