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コロナ後見据え変革促そう

2021年2月19日
◆21年度県予算案◆

 2月定例県議会が18日開会し、2021年度一般会計当初予算案が提案された。総額は河野県政で過去最大の6255億円。新型コロナウイルス対策203億円、防災・減災、国土強靱(きょうじん)化対策59億円など差し迫る課題への対応を盛り込んだ。一方、人口減少という避けて通れない中長期課題に68億円。移住者受け入れや情報通信技術(ICT)の人材育成など地域と産業づくりへ意欲を示した。地道な取り組みと柔軟な発想を駆使し、成果を期待したい。

 20年度は急展開が続くコロナ禍に対応するため補正予算が相次いで組まれ異例続きだった。21年度予算編成でも当然、目の前のコロナ対策とコロナ後を両にらみで進められた。「出張などが激減し例年以上に知事や職員が顔を突き合わせ、宮崎の将来の姿、課題について熟考できた」(財政課)という。

 そうして示された重点施策が「安心の基盤づくり」「つながりの再構築へ」「ポストコロナへの挑戦」の3本柱。コロナ対策に万全を期しながら、3密を避ける新たな生活様式の中で人々が交流する方法を模索、さらにコロナ後を見据えた働き方の変革、デジタル化などを推し進めようとする内容だ。

 予算案を河野知事から県民へのメッセージとして捉えれば、整理されており分かりやすく評価したい。ただ大切なのはこれからだ。盛り込まれた事業をいかに丁寧に進展させ、その過程で県民の要望や声を拾い上げ敏感に反応する熱意を維持できるか。コロナ収束まで社会経済の変動が続くことが予想され、機動性も求められる。

 コロナ禍を経て地方回帰が加速するといわれる。都市住民の受け皿になろうと全国の自治体が躍起になる中、本県の特徴や魅力を差異化し発信することが重要だ。基盤になるのは県民の暮らしやすさや愛着だろう。3密を避け手厚い教育環境を実現する少人数学級、医療体制の充実、雇用を創出する取り組みなど県民の安全を守るためさらなる検討を進めてほしい。

 ICTの恩恵を県民が実感できるよう、21年度を「みやざきデジタル化元年」としたことは好材料だ。遅きに失した感はあるが、新産業育成や人材発掘、中山間地域での利便性向上、教育や医療の環境改善などあらゆる分野で変革を促したい。

 大型予算とはいえ、コロナ禍の影響で県税収入は前年度比3・6%の減少。国の交付金や臨時財政対策債で補塡(ほてん)し、財政課は「例年並みの財政健全化を保てる」としているが、借金に依存する国家財政の脆弱(ぜいじゃく)さを考えれば楽観できない。無駄を省き要所を捉えた支出判断がこれまで以上に求められている。

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