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コロナまん延防止措置

2021年2月18日
◆宣言解除後の適用は慎重に◆

 新型コロナウイルス対応の改正特別措置法が施行され、緊急事態宣言の前段の状況でも飲食店などに罰則付きの命令を出せる「まん延防止等重点措置」が新設された。都道府県知事は一定の要件や手続きが必要な宣言発令中でなくても、機動的に強い措置を取れるようになった。

 これを巡り、宣言回避のための予防措置という当初想定に対し、政府、知事らが宣言解除をスムーズにする「受け皿」に活用しようとする動きが顕在化した。解除のハードルが下がり、早すぎる解除がリバウンドを呼び、かえって収束が遠のく結果を招かないか心配だ。

 改正特措法は、緊急事態宣言下で休業や営業時間短縮の要請に応じない事業者への命令を可能とし、違反の場合は30万円以下の過料を科す。宣言発令がなくても、政府が対象の区域、期間を定めるまん延防止措置の下で、時短違反に過料20万円以下を科せるようにした。

 ただ、措置の適用要件や国会の関与は明記されず、政府は新規感染者数や医療提供体制の逼(ひっ)迫(ぱく)度などを踏まえて判断すると政令で決めたものの、基準はなお不明確で、恣意(しい)的運用の懸念が残ると言わざるを得ない。

 緊急事態宣言は感染状況が最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)での発令、まん延防止措置は「ステージ3」(感染急増)での実施が想定されている。政府、知事らはこれを目安とした上で総合的に判断するが、宣言発令中の10都府県の一部では感染者減少を受け解除を急ぐ「前のめり」な姿勢が目についた。

 経済再生を重視する吉村洋文大阪府知事は、宣言解除要請へ向け設定した独自基準2項目のうち、重症用病床使用率が未達にもかかわらず、直近1週間の新規感染者数がクリアしたと解除要請へ動きだした。

 意見を聞いた専門家6人中5人が反対して判断は先送りされたが、この間に吉村氏が宣言解除の後に移行するよう求めていたのが、まん延防止措置だ。

 この措置は当初、「予防的措置」として想定されていたが、法案審議の途中から解除後の適用に急に軸足を移した。

 宣言解除後のまん延防止措置への移行は、強い対策が継続されると説明でき、住民の不安感を和らげる効果が期待できる。このため宣言解除に前のめりだった知事らは解除を容易にする「クッション」に使おうとしたと見られても仕方あるまい。

 しかし今、解除を急ぐことで緩みが生じて感染再拡大を招けば、収束を目指す努力が水泡に帰す。医療に加え、感染経路調査に当たる保健所の負担が重いままでの解除は踏みとどまるべきだ。焦りは禁物だ。

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