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県内経済展望

2021年1月14日
◆新常態DXで乗り切りたい◆

 「需要消失」という悲痛な叫びが飛び交った2020年。「今年こそは」と新型コロナウイルスの収束を願っていた県民の祈りを砕くように、年明けに感染者が急増。再び緊急事態宣言が発令され、県内経済界への影響は計り知れない。

 書き入れ時だったはずの年末年始は暗く沈んだ。忘年会も新年会も帰省も…と自粛が続き、飲食店や宿泊施設を直撃。「このままでは新たに200~300件廃業すると心配していたが、(緊急事態宣言による)協力金で乗り切れる」。宮崎市内繁華街の関係者は窮状を訴える。

 昨年1年間の法的整理によるコロナ関連の倒産(負債額1千万円以上)は6件。「年末までにつぶれるところがぼろぼろ出るのでは」という大方の予測を幸いにも下回っている。国や県、金融機関などの手厚い支援あってのことだが、カウントされることなく人知れず店を閉めた事例が多数あることを忘れてはならない。

 コロナ禍が長期戦となることが決定的となった今、新しい生活スタイルを「新常態」として対応することがなお一層求められる。鍵は、IT化を通してビジネスモデルや組織文化を変えていくDX(デジタルトランスフォーメーション)だろう。

 県内でも取り組みは進んでいる。昨年末、宮崎日日新聞社が実施した50社アンケートでは、8割が既に着手していると回答。ウェブ会議やペーパーレスはもちろん、単純な事務作業をソフトウエアに代行させる「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」など、積極的な姿勢がうかがえる。

 問われるのは、そこにイノベーション(技術革新)の要素があるかどうか。各種業界で変革が加速するといわれる中、生き残りに向け知恵を絞っていかなければならない。

 流通業界では昨年、明るいニュースが続いた。11月にはアミュプラザみやざき、MEGAドン・キホーテ宮崎橘通店、ワークマン・プラスがオープン。今年3月には人気雑貨店ロフトも開業する。街のにぎわいはコロナ下での希望の光。宣言後ぱったりと客足の途絶えた通りに、にぎわいが戻る日を待ちたい。

 地元重視志向が強まることも期待される。外出自粛を強いられた昨年は、修学旅行先や催事などの入荷先が県内へシフト。ある百貨店の幹部は「地元にこれほどいい食材があるとは思わなかった。コロナに教えられた」と真摯(しんし)に受け止める。

 逆境をプラスと受け止める経営者は少なくない。「困り事こそがビジネスチャンスを生む」。多くが口にした言葉を胸に、しばらくはぐっと身をかがめ活路を見いだしたい。

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