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国文祭・芸文祭

2021年1月13日
◆心癒やす「文化の力」発信を◆

 本県で昨年10~12月に予定されていた国民文化祭(国文祭)と全国障害者芸術・文化祭(芸文祭)は新型コロナウイルスの影響で延期され、7月3日~10月17日に開かれる。ただ収束の見通しも不透明だ。その中で安全に準備を進め安心して本番を迎えるためには感染防止策など一つ一つの課題に向き合う必要があり、県のリーダーシップが求められる。

 国文祭・芸文祭は都道府県持ち回りで開く全国最大級の文化の祭典で、計画通り実施できていれば多くの県外客の参加が見込まれ、本県文化を発信する絶好の機会となった。166事業が企画されていた。準備していた関係者は残念だっただろう。

 今年はもともと和歌山県で10~11月に予定されており、初めての年2回開催となる。本県は開幕まで半年となり、イベント内容を公表し、アピールしたいところだ。しかし県内は年明けに新型コロナの新規感染者数が急増し、医療機関が逼迫(ひっぱく)するなど厳しい局面を迎えている。

 状況が落ち着いたら、県は開催への考え方などメッセージを県民に発し、イベント主催者に対しては感染防止策などの助言や支援を丁寧に行ってほしい。

 各イベントの開催意義もおのずと変わってきそうだ。コロナ禍において、心を癒やし励ます「文化の力」は世界中で再認識されている。これまでより一層、文化を享受できるありがたさ、文化を創造する喜びを感じる機会になるのではないか。

 県内では昨秋から、県や市町村の実行委が主催する演劇やコンサート、美術展など35事業が国文祭・芸文祭のさきがけプログラムとして展開されている。7~10月に持ち越せないものが中心で、消毒やマスクの徹底、座席の削減といった感染防止策や、オンライン活用など代替策を講じながら行われている。

 主催者や出演者からは「観客の生の声援が活力になると改めて実感した」「コロナ禍の中、練習の成果が出せて感無量」、観客側からは「出演者と一体となり楽しめた。久しぶりに音楽に触れた」「涙が止まらなかった」といった声が聞かれた。多くの行事が中止を余儀なくされる中、文化の灯を絶やすまいと奮闘し、工夫し、楽しもうとする県民の姿にたくましさを感じる。

 7月に向け準備する上では、さきがけプログラムの経験を生かし、開催ノウハウを共有することが大切だ。文化団体同士、横の連携が図れないか。文化向上のため情報や思いを分かち合える力強いネットワークが構築できれば、それは国文祭・芸文祭の財産にもなるだろう。

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