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県が緊急事態宣言

2021年1月9日
◆県民全体の行動変容大切だ◆

 新型コロナウイルスの感染の勢いが急拡大していることを受け、県は7日、県全域の警報レベルを最上段の「4」に引き上げ、県独自の緊急事態宣言を発令した。期間は9~22日。8日には県や県医師会、県市長会など計5団体が共同メッセージを発表。爆発的な感染拡大の事態にあることに県民一人一人が危機感を持って行動し、短期集中での封じ込めにつなげたい。

 1日の新規感染者数は6日に80人、7日に105人と過去最多を大幅に更新し、8日は72人になった。本県の直近1週間(12月31日~1月6日)の10万人当たり新規感染者数は32・0人となり、東京都、神奈川県に次ぐ全国3番目の多さ。感染経路の追えない五次感染拡大が懸念されており、事態は深刻だ。

 県民の不安が日増しに膨らむ中、危機克服へ向けて県知事らには明確なメッセージを発信するリスクコミュニケーションが求められる。県民の理解と協力を得るためには、なぜ今の判断に至ったのか、対策の根拠となった科学的なデータ、現状に関する情報を開示する努力が欠かせない。九州圏域でも本県だけがなぜ突出して急拡大しているのかの分析も鍵になる。背景が判明すれば、それに基づく有効な手だてが鮮明になるだろう。

 県は接触抑制に向け、不要不急の外出や県外との往来を原則自粛、県全域の飲食店などへの時短営業、イベントは中止・延期を求める。事業所はテレワークや時差出勤など、勤務形態や就業環境の見直しと徹底を図ってほしい。教育機関では児童生徒の健康を守りつつ、学ぶ権利を保障するための新たな工夫や知恵をこの機に編み出したい。

 午後8時までの時短営業を要請された飲食業界の打撃は大きい。時短とはいえ、事実上の休業状態になる店舗も少なくないだろう。仕入れなど飲食業に関連する業種への目配りも必要だ。地域経済をこれ以上疲弊させないためにも、苦境に立たされている飲食業界の声をくみ取る姿勢が重要になる。

 専門家の間には、限定的な対策では感染急増を止められないとの意見が相次いでいる。飲食店の時短営業を中心とした施策のみの場合、感染者数は2カ月後も現状とほぼ同水準にとどまるという分析もあり、飲食店対策だけでは効果が薄いという。この観点からも県民全体の行動変容が大切だと言える。

 強制力はないとはいえ、生活する上での「自由」に再度、一定の制限が課せられることになる。いま一度、私たちは「コロナ慣れ」していなかったのか振り返っておかなければならない。自由の制限を最小限に抑えるという目的のためにも、行動を徹底したい。

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