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爆発的な感染拡大

2021年1月7日
◆自らの言動に冷静さ持って◆

 年末年始を挟んで人の移動が増し、懸念されていたことが現実となった。県内で6日、80人の新型コロナウイルス感染者が確認された。年明け以降、過去最多を更新し続けていた1日当たりの感染者数だが、同日は突出して多く、河野知事は「衝撃的な数字」と危機感をあらわにした。誰もが目の前にウイルスの脅威が迫っていることを認識し、大切な人を守るための行動を徹底してほしい。

 県はすでに、感染状況が爆発的だとして、都城市・北諸県圏域を感染区分で最も深刻な「感染急増圏域(赤圏域)」に9日から指定することを決定していた。6日、県は同市と三股町に加え、宮崎市内も対象に、酒類を提供する飲食店に時短営業を求めることを明らかにした。対象店舗には昨夏に続く痛手となるだろうが、感染拡大を防ぐには致し方ない。最悪の事態を避けるための踏ん張りどころだ。

 都市部での感染急拡大について専門家は「感染経路不明のおよそ6割が飲食店での感染と考えられる」と分析している。県内でも会食の場は感染拡大の急所になっており、分析に基づく根拠があることを理解してもらい、協力を仰ぎたい。

 県内の感染者の累計は千人に迫り、第3波の真っただ中にある。濃厚接触者らを追跡する行政検査の範囲内であれば感染経路をある程度把握できるものの、医療機関での保険適用検査による確認例が増えれば、感染経路や場所が把握できないままウイルスがじわりと広がっている事態が想定される。

 現在、この保険適用検査による確認例が増えているのが懸念材料だ。飲食の場などで感染し、無自覚のまま家庭や職場にウイルスを持ち込む。こうして市中感染が広がっていくが、この火種が県内全域にあることを意識しておきたい。

 何より避けなければならないのは医療体制が崩壊する事態だ。県内では感染が初確認されて以降、病床や療養施設の拡充に向けた整備が格段に進んだ。しかし、本県はもともと医療資源が脆弱(ぜいじゃく)であり、これ以上感染拡大に拍車がかかれば医療現場は危機的状況に陥る。引き続き、医療体制拡充と医療従事者へのサポートが必要だ。

 今後の感染の動向は一人一人の行動が分岐点になるだろう。長引くコロナ自粛への疲れと慣れで、どこまで人々が行動変容できるかが試される。もう一つ大切なのは、感染者やその家族、医療従事者らが、差別的な言動や偏見の目にさらされないことだ。誰にも感染の可能性はあることを忘れたくない。安心して暮らせる地域を取り戻すため、冷静に自らの言動に考えを巡らせ、行動するときだ。

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