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コロナ第3波

2020年11月17日
◆「攻め」の対策で抑え込め◆

 新型コロナウイルスの国内新規感染者数が12~14日に3日連続で過去最多となるなど、都市部を中心に感染拡大の勢いが続いている。政府のコロナ対策分科会は感染者増を受け「急速な感染拡大の可能性がある」と対策強化を緊急提言し、日本医師会も「第3波と考えてもよい」と表明した。

 寒く乾燥する冬はウイルス感染の危険が高い上、換気不足の室内で密に過ごしがちだ。インフルエンザと同時流行すれば医療崩壊が現実のものとなる。冬本番までに何とか抑え込まなければならない。年末年始の宴会や帰省など人の移動が増える季節であり、3密回避など自制的な行動を改めて徹底したい。

 今回の特徴は、歓楽街に加え、職場、外国人コミュニティーなど多様な場にクラスター(感染者集団)が広がり、対策の的が絞りにくくなったことだ。北海道などで医療逼迫(ひっぱく)の懸念も強まっている。政府は感染症対策の専門家派遣などで直ちに支援強化すべき事態だ。

 これを受け、分科会は「今までよりも踏み込んだクラスター対応」など五つの対策を提言。言葉の壁があり受診を避けがちな外国人コミュニティーへの分かりやすい情報発信、空港などの検疫所と自治体の情報連携強化、屋内で過ごす冬の感染防止策をまとめた指針作成―などを国に求めた。

 いずれも、発生したクラスターの検知、対処を基本とした従来の対策から、未然にクラスター発生を防ぐ「攻め」の対策へ転換を図る狙いだ。具体的成果につなげてほしい。ただ、提言は社会経済活動は止めず両立させることが前提である。

 さらに提言は、歓楽街などの「点」から職場や家庭など「面」に広がるクラスター対策に対応しきれていない面もある。厚生労働省の専門家組織座長の脇田隆字国立感染症研究所長は「人が動く状況になれば感染拡大を押し上げる」と、経済と感染防止の完全な両立は難しいとの認識を示した。

 コロナ関連の解雇、雇い止めは7万人を超えた。非正規労働者や中小企業を中心に厳しい状況が続いている。感染者数が1100万人を突破した世界最多の米国では、次期大統領に当選確実のバイデン前副大統領が感染防止強化に転換する。欧州各国は既に、社会経済活動規制の再導入を決断した。

 米製薬大手ファイザーが開発中で日本も供給を受けるワクチンが、有効性90%以上になったとの明るいニュースも伝えられた。だが、ワクチン接種が始まるのは早くて来春以降だ。感染防止のブレーキだけでなく、経済のアクセルを緩める選択肢も政府は排除すべきではない。 

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