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新田原基地日米訓練

2020年10月14日
◆コロナ予防へ細心の対応を◆

 新富町の航空自衛隊新田原基地で予定される日米共同訓練で、米兵の宿泊先に宮崎市中心部のホテルが検討されていることが分かり、河野知事らは従来通り基地内に宿泊するよう申し入れた。今夏、在日米軍内で新型コロナウイルス感染者が急増し、米軍専用施設が集中する沖縄県では市中感染への危機感が高まった。訓練時の騒音や治安問題に、今年はコロナの感染拡大への懸念が加わり、首長の要請はこれを受けた格好だ。

 日米共同訓練は26日~11月5日に行われ、同県の米軍嘉手納基地からF15戦闘機12機程度と米兵約200人が参加する予定。県危機管理局は「宿泊場所が基地内になるか基地外になるかで対応が全く違う」と説明。仮に米兵の感染が判明した場合、行動履歴など十分な情報が提供されるのか不安が残るからだ。「国内からの観光客や県民と同水準で扱えるのか、感染経路の確認はどこまで可能なのかなど心配は尽きない」という。

 背景には、在日米軍の特別な法的地位を定めた日米地位協定がある。基地に直接入る米軍人には日本の国内法が原則として適用されず、検疫も米側の裁量に委ねられる。米軍人が入国後に基地外に出るのも自由で、これまで水際対策の「抜け穴」と指摘されてきた。米軍の情報開示に後ろ向きな姿勢に不満を募らせた沖縄県などの意向を受け、日本政府は検疫強化や情報提供に関する改善要望を米側に重ねてきた。

 新田原基地での日米共同訓練には、事前にPCR検査で陰性を確認した米兵が参加する予定という。九州防衛局も「万が一、感染となったら米軍と地域の双方にとって良くない。米軍側から感染防止策の詳細を聞いてはいないが、対策は徹底するはずだ」としている。

 そうは言っても、沖縄県では感染者が2700人を超え、米軍基地内の陽性者は400人超に上る。受け入れる地域住民の不安を増幅させないためにも、細心の対策と十分な説明が求められる。

 日米共同訓練は2006年の在日米軍再編ロードマップに基づくもので以来、新田原基地では9回の日米共同訓練が行われてきた。九州防衛局によると訓練期間2日間、米軍からの参加人員14人だった初回からすると、14年(14日間、200人)、18年(10日間、210人)などと延長、拡大傾向にある。

 米軍常駐化への懸念について九州防衛局は「それは飛躍しすぎ。あくまでも沖縄の負担軽減が目的」と説明する。コロナ対策と同様、沖縄で長年問題視されてきた治安や騒音問題への対応も迫られることを認識しておくべきだ。

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