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菅新内閣発足

2020年9月17日
◆先頭に立ち国会論戦に臨め◆

 第99代首相に菅義偉自民党総裁が就任し、菅新内閣が発足した。安倍晋三前首相の退陣を受け、7年8カ月ぶりの首相交代になった。党内の派閥に属さず、世襲でもない菅首相は閣僚など一連の人事について、派閥の意向に左右されず「適材適所、改革意欲のある人」を登用すると強調していた。

 だが、新内閣の顔触れは、政権の安定と派閥の力学を念頭に置いた再任や横滑り、再入閣の閣僚が目立つ。「経験重視」という見方もできるが、各派閥の入閣待機組の起用と合わせて考えれば、党内での権力基盤固めに腐心した陣容ではないか。

 失点回避の「守り」の姿勢だけでは克服困難な課題を、菅内閣は背負っている。党総裁としての任期は、安倍氏が務めるはずだった来年9月までだ。この間に、新型コロナウイルスの感染収束、戦後最悪とされる経済低迷からの脱却に道筋を付ける使命を抱えている。東京五輪・パラリンピックの開催可否についても最終判断を下さなければならない。日本の行方を左右する決定には、国民の理解と協力が欠かせない。

 菅氏は記者会見で「国民の皆さんに何事も丁寧に説明することが大事だ」と述べた。だが総裁選のさなかには、首相の国会出席について「行政の責任が果たせない」との理由で、重要な局面に限定すべきだと明言しており、矛盾が見られる。森友・加計学園や桜を見る会のような問題で追及を受けるのがわずらわしいというのが本音なら、国会軽視との批判は免れない。

 16日召集の臨時国会は、菅首相を指名しただけで18日に閉会する。野党は憲法53条に基づいて本格的な論戦ができる国会召集を求めたが、たなざらしにされた。政府、与党は衆院解散・総選挙のタイミングを探るより先に、十分な会期を確保した国会日程を早期に示すべきだ。

 議論すべき課題が山積しているからだ。菅首相が総裁選で掲げたキャッチフレーズは「自助・共助・公助、そして絆」だった。コロナ下であっても「自助」、つまり自己責任での対応が優先されるのか。行政による「公助」の役割とは何か。観光支援事業「Go To トラベル」の行方や経済再生策、消費税減税を巡る質疑も不可欠だ。

 衆参両院議員150人で結成された野党第1党、新「立憲民主党」の枝野幸男代表は「行き過ぎた自助を求める新自由主義か、支え合いの社会か」と対立軸にする構えを見せている。

 菅首相は最高権力者の座に就いた以上、目指す国家社会像を語る必要がある。国民の信任を得たいのであれば、先頭に立って国会論戦に臨み、説明責任を果たすことが第一歩になる。

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