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京アニ放火容疑者逮捕

2020年5月29日
◆背景掘り下げ真相に迫れ◆

 アニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオで昨年7月、36人の命が奪われた放火殺人事件で、京都府警は殺人などの疑いで青葉真司容疑者を逮捕した。青葉容疑者は重いやけどを負い、ほぼ寝たきりの状態。勾留先の医療設備を整えるなどして逮捕に踏み切った。

 事件発生から10カ月余り。青葉容疑者は「間違いない」と容疑を認めているという。入念に下見を繰り返したり、ガソリンや刃物を用意したりするなど計画性がうかがえるが、具体的な動機は見えてこない。事件直後に身柄を確保された際には「小説を盗まれた」と話したとされ、京アニの公募に応じ複数の小説を出したものの、落選したことが確認されている。

 とはいえ、殺人事件の犠牲者数として平成以降で最多という重大な結果と釣り合わないとの見方もある。遺族らはなぜ、このような悲惨な事件が起きたのかと問い続けている。京アニとの接点と動機を詳しく解き明かし、さらに成育歴なども含め事件の背景をできる限り掘り下げることが求められる。

 京アニは「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」など学園もののヒット作品を数多く手掛け、その独創性と実写のような背景描写に見られる質の高い作画技術で知られる。海外でも人気があり、現場となったスタジオでは監督、原画やキャラクターデザインのスタッフらが働いていた。

 逮捕について京都府警は「容体が回復傾向にある。逃亡や罪証隠滅の恐れがある」と説明。青葉容疑者は取り調べに「ガソリンを使えば、多くの人を殺害できると思った」などと供述しているが、遺族や被害者への謝罪や反省の言葉はないという。

 21年前、21歳の時に父親が亡くなって以降は1人暮らし。コンビニのアルバイトなど非正規の職を転々とし、不況のあおりを受け家賃を滞納するなど生活は苦しかったようだ。2012年にコンビニ強盗事件で懲役3年6月の実刑判決を受け、公判で「仕事で理不尽な扱いを受け、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」と述べていた。

 京アニ放火殺人事件の直前にもアパートの隣人男性とトラブルになるなど、職を転々とする中で不満やいら立ちを募らせていたことがうかがわれる。青葉容疑者は昨年11月の任意聴取に「どうせ死刑になる」と話していたという。

 青葉容疑者は長期間にわたり、ほぼ寝たきりのままで体力や免疫力も落ちているため、感染リスクにも気を配りながらの難しい取り調べとなるだろう。遺族の問いにこたえ、社会への不満を募らせた末の事件の再発を防ぐため、何とか真相に迫ってほしい。

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