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コロナで雇用悪化

2020年5月27日
◆非正規へのしわ寄せ対応を◆

 新型コロナウイルス関連の解雇や雇い止めが政府が緊急事態宣言を発令した4月から急増し、雇用情勢が急速に悪化している。加藤勝信厚生労働相が今月21日時点で解雇や雇い止めが1万835人に上り、5月だけで全体の約7割を占めているとし、「日を追うごとに増加している」と懸念を表した。

 緊急事態宣言が全国に拡大されて以降、外出自粛・休業要請で消費にブレーキがかかった。飲食や宿泊、小売りなどの業種で売り上げは大きく落ち込み、解雇や雇い止め、内定取り消しが相次いだ。全面解除後も需要がV字回復する兆しは見えず、中小企業の経営を圧迫する。

 2008年9月のリーマン・ショック時、製造業を中心に雇い止めに遭い、職や住まいを失った非正規労働者が年末、東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」に殺到し、食事や生活相談などの支援を受けた。

 コロナ感染拡大が家計や企業の経済活動に及ぼす影響は「リーマン以上」といわれ、多くの人が過去に例を見ないほど厳しい状況に置かれている。

 政府は企業が従業員らを解雇せず、休ませた場合に支払う休業手当の一部を国が負担する雇用調整助成金について、助成率を最大10割まで引き上げるなど拡充し、雇用保険に未加入の非正規などにも手当が行き渡る仕組みを整えた。

 しかし、この助成金を利用する際、提出書類の多さが壁となり、申請を諦める事例も出ている。申請から支給まで時間がかかることも指摘されている。政府はいま一度、制度の中身や趣旨を丁寧に説明して周知徹底を図るとともに、手続きの簡略化と迅速化を通じて、企業に雇用維持の必要性を根気強く促していくべきだ。

 県内でも、商工、飲食、宿泊業などの事業継続を目的にした家賃補助や支援金給付を柱に経済対策が講じられる。宮崎日日新聞社のまとめでは、諸塚村を除く25市町村の地域経済対策事業費は計73億円規模。雇用対策では延岡、日南市、高原、新富町が失業した市民、町民らを非常勤職員として雇用する事業を打ち出した。

 正規、非正規を問わず安易な解雇は許されない。とりわけ社会的、経済的に弱い立場にあり、雇用悪化のしわ寄せを真っ先に受ける非正規をいかに守るかが差し迫った課題だ。

 非正規は今や働く人の4割を占めるが、今年3月は前年同月比で26万人も減少。企業が差別や格差を放置したまま安易に雇用の調整弁として使い続けるなら失業者があふれ、社会に不安や混乱をもたらしかねない。非正規労働者の現状を速やかに把握し、対策につなげたい。

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