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東京五輪延期

2020年3月26日
◆影響を広範囲に精査したい◆

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に深刻化する中、夏の東京五輪・パラリンピックを1年程度延期し、遅くとも2021年夏までに開催されることになった。五輪が戦争で中止になった例は複数あるが、延期は初めて。

 安倍晋三首相が24日夜、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長に「世界のアスリートが最高のコンディションでプレーでき、観客にとって安全で安心な大会とするため」、延期について検討するよう打診。バッハ会長が応じた。

 ここに至るまでのIOCの態度はかたくなだった。延期などの検討に入るには早すぎると言い続けた。それに対し、過去五輪で活躍したアスリートが「無神経で無責任」「私たちの健康を脅かしたいのか」「鈍感で状況が読めていない」とカナダ、ギリシャ、英国から批判の声が次々と上がった。選手を派遣する責任を担う各国オリンピック委員会ではノルウェー、ブラジル、オランダがしびれを切らしたように、大会延期を要望する声明を発表した。

 選手の健康に危険が及びかねない状況になっても、選手が五輪の出場権獲得を目指す予選大会が中止に追い込まれても、IOCは延期の検討に乗り出そうとしないという印象を世界に与えてしまった。組織にとって大きなイメージダウンとなった。

 参加国・地域の選手らと地域住民が交流する「ホストタウン」に登録している自治体への影響は必至だろう。本県では県、7市1町が9カ国のホストタウンになっており、交流事業や直前合宿が予定されている。

 宮崎市では7~8月、ドイツの陸上、英国やカナダのトライアスロンが事前合宿を計画。同市スポーツランド推進課は「相手国からまだ連絡はなく、白紙に戻るかどうかも含めて分からない。ただし、せっかく宮崎市を選んでもらった経緯があるので、引き続き受け入れ態勢を整えて事前合宿を誘致していきたい」と話す。

 河野知事も25日、「(宿泊など)経済へのダメージは大きい」とした上で、「宮崎での事前合宿のイメージを持っているはずなのでご破算になるとは思っていない」と期待を込めた。

 東京五輪は33競技の339種目を実施する巨大イベントだ。大会組織委員会の森喜朗会長は延期となった場合の最大の課題を問われ、競技会場の確保を挙げた。既に約450万枚を販売したチケットはそのまま有効となるのかといった問題もある。課題は山積している。延期によってどんな影響が選手、観客、大会組織委、放送権者、スポンサー企業、さらに自治体に出るのか広範囲な精査が必要だ。

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