ホーム 社説

関電金品受領報告書

2020年3月21日
◆国会に参考人招致し解明を◆

 関西電力役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領した問題を巡り、第三者委員会が報告書を発表した。関電が元助役の要求に応じ、原発関連工事を元助役の関係企業に発注していたことを認めた。公益企業にあるまじき想像を絶する腐敗ぶりが明らかになった。

 関電は同時に社長交代などの人事を発表したが、これで幕引きというわけにはいかない。昨年10月に設置された第三者委は調査期間が限られ、原発マネー還流の全容が解明されたとは言い難い。役員らの責任追及も課題だ。国会、政府は真相解明に本腰を入れなければならない。

 関電は金品受領を認める一方で「発注プロセスと発注額は社内ルールに基づき、適正だった」と繰り返し強調していた。しかし第三者委は具体的事例を挙げて不正な発注と認定、関電の主張は崩れたと言える。

 第三者委によると、元助役の森山栄治氏(故人)から金品を受け取ったのは75人で、総額は計3億6千万円相当。報告書には、森山氏とのやりとりを巡る社内の生々しい電子メールが多数記載され、森山氏に特定の建設会社への発注を要求されて応じたり、発注予定額など重要情報を事前に知らせたりしていた便宜供与の実態がよく分かる。

 森山氏側の狙いについて関電は「権威の誇示」「礼儀の実践」と説明していた。だが、第三者委は「見返りとして自分の関係する企業へ工事の発注を行わせ、企業から経済的利益を得る仕組みを維持することが目的と見るのが自然」と断じた。

 報告書によると、森山氏は高浜原発3、4号機の増設に尽力。山林を関電に相場より高く買い取ってもらうといった不透明な手法も使い、地元の反対を抑え、1987年の助役退任直後から金品を贈って関電役員らと「共犯関係」を結んだ。

 東京電力福島第1原発事故が転機となり、新たな規制が導入されて工事が増えたことで、贈る金品も大幅に増えたという。

 報告書が、電気料金を負担するユーザーの目線で考えた様子がない組織体質や、取締役会での論議や問題の公表を避けて封印を図った3首脳の姿勢を厳しく批判したのはうなずける。

 役員らについて、会社法違反(特別背任、収賄)、背任、所得税法違反の4容疑で市民団体が告発状を大阪地検に提出している。また損害額の支払いを役員らに求める株主代表訴訟の準備も進んでいる。こうした責任追及が真相究明につながるよう期待したい。

 政府、与党は「第三者委の調査を待つ」という姿勢に終始してきたが、積極的な究明が必要だ。国会で野党が要求した参考人招致を実現すべきだ。

このほかの記事

過去の記事(月別)