ホーム 社説

宮崎県内で新型肺炎初確認

2020年3月6日
◆冷静に対応し拡大防止を◆

 人の往来が急増する今、ウイルスには国境も県境もない。県内で初めて、新型コロナウイルスの感染者が宮崎市で確認された。誤情報やデマに惑わされず冷静な対応に努めながら感染拡大を食い止めたい。地域社会を構成する私たち一人一人の意識と行動が特に大事な局面だ。

 県と同市によると、同市在住の70代無職男性が今月1日、発熱や倦怠(けんたい)感などの症状を訴え、翌2日に同市内の医療機関を受診。4日、同じ医療機関を再診した後、陽性が確認された。感染症指定医療機関に入院中で容体は安定しているという。男性は2月20~26日、妻と米国に滞在、同27日に帰国した。同行した妻は陰性という。

 県は3日にまとめた対応方針に従い、3月末まで県主催イベントの延期・中止、県央地域の公共施設の休館などを決定した。今回は感染経路が不明であり、2003年に感染が広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)と比べて「軽症者にも感染力があり、感染範囲が広い」とされる。初動の思い切った措置が大切になる。

 中国・武漢市での発生当初に「謎の肺炎」と呼ばれた新型コロナウイルス感染症だが、徐々に特徴が明らかになってきた。

 中国の4万4千人余りのデータを分析した結果によると、全体の致死率は2・3%。ともにコロナウイルスの仲間が原因のSARSの9・6%、中東呼吸器症候群(MERS)の30%超に比べるとかなり低い。80・9%は軽症だという。

 ただし年代別では、10~30代の致死率が0・2%に対し、60代は3・6%、70代は8・0%、80代以上は14・8%と、年齢が高いほど致死率が高まる傾向がある。また、持病がない人の致死率は0・9%なのに対し、心臓血管疾患がある人では10・5%、糖尿病では7・3%、慢性呼吸器疾患では6・3%などと大幅に上昇した。

 重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある人たちをいかに守るかが最大の課題となる。医療機関の負担が過重にならないよう、安易な受診を控えることも必要だ。感染者や疑いを持った人が早急により良い医療を受けられるために何かできるか、自ら考えて生活してほしい。

 引き続き、「自身が感染しない、他の人にうつさない」と意識し、正しい予防方法を確認しよう。手洗いとうがいの励行、「せきエチケット」など感染症対策の基本動作の徹底が求められる。根拠のないうわさで日用品の買い占めに走ったり、感染者らに対して差別感情を持ったりするのは言語道断だ。冷静な判断の前提には、分かりやすく迅速な情報提供が不可欠であることは言うまでもない。

このほかの記事

過去の記事(月別)