ホーム 社説

通常国会召集

2020年1月22日
◆「逃げる政権」に歯止めを◆

 権威も、機能も失墜した言論の府が再生できるのか、瀬戸際に立たされている。衆参両院議員は、立法府の一員だという自覚を持ち、存在意義を取り戻すチャンスと認識してほしい。

 通常国会が20日召集された。直面する課題は枚挙にいとまがない。経済対策の名の下で膨れ上がった2020年度予算案は、暮らしに直結し、安倍晋三首相が「最大のチャレンジ」と呼ぶ全世代型社会保障制度の構築は、国の未来を左右する。地球温暖化対策も待ったなし。汚職事件に発展したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の是非も、立ち止まって議論が必要だろう。

 外交面でも、緊張が一気に高まった中東、戦後最悪の日韓関係、停滞するロシアとの北方領土交渉、北朝鮮の挑発が影を落とす朝鮮半島情勢…と課題がめじろ押し。日米関係においても、在日米軍駐留経費負担の交渉が本番を迎える。150日間、こうした問題を巡る活発な論戦が不可欠だ。

 大前提となるのは、行政の公平・公正性と透明性、それを通じた信頼の確保にほかならない。「桜を見る会」の私物化問題でも如実に表れた「逃げる政権、隠す官僚」に、歯止めをかけることが最優先となる。

 一昨年の通常国会閉幕を受け、大島理森衆院議長が鳴らした警鐘を振り返りたい。「民主的な行政監視、国民の負託を受けた行政執行といった点から、民主主義の根幹を揺るがす問題であり、行政府・立法府は、共に深刻に自省し、改善を図らねばならない」。財務省の森友学園決裁文書の改ざん、厚生労働省の不適切データ提示、自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)など、政府の不祥事が相次ぎ発覚したためだった。

 その後、事態は改善されるどころか、政権や政府の国会軽視は一段と進行する。深刻なのは、政府の単純なミスというより、「不都合な真実」にふたをしようとする意図がちらつくことではないか。国民の「知る権利」が脅かされているのだ。

 緊迫する中東地域への自衛隊派遣は、国会でほとんど審議することはなかった。実力組織を海外に送る重い判断にもかかわらず、現行法の「調査・研究」を根拠に、閣議決定だけで済ませた。イラン革命防衛隊の司令官殺害と米軍駐留基地への報復攻撃という状況は、明らかに派遣決定時と異なる。国会を素通りさせた軽い対応を含め問い直すべきだ。

 政府側に是正する意思がないならば、国会が実行させなければいけない。行政監視の役割を担う国権の最高機関が本分を発揮し、「政権の下請け機関」と称される不名誉を返上してもらいたい。

このほかの記事

過去の記事(月別)