2025年02月07日16時13分
弥生、古墳時代に朱色の顔料となる鉱物「辰砂」を採掘していた徳島県阿南市の国史跡「若杉山辰砂採掘遺跡」で、新たな採掘跡が7日までに見つかった。採掘跡の岩盤側面にはすすが付着しており、火で熱し、もろくなった岩盤をたたいて採掘する「火入れ法」を使った国内最古の遺跡になるとみられ、当時の高い技術を示すという。
火入れ法は、これまでは「延沢銀山遺跡」(山形県尾花沢市、国史跡)の江戸時代初期の坑道が国内最古例で、日本の火入れ法の歴史が大きくさかのぼる可能性が出てきた。
若杉山辰砂採掘遺跡は、弥生時代後期から古墳時代初頭にかけて辰砂を採掘していた遺跡。辰砂は粉砕すると朱色の顔料になり、死者の顔や墓に塗っていた。今回新たな区域を発掘した結果、幅40センチ、深さ50センチの採掘跡が見つかった。今回の発掘では弥生時代後期後半の土器も出土、採掘も同時期と推測される。
古代ギリシャや、若杉山辰砂採掘遺跡と同時代の中国でも火入れ法による採掘が行われていたとされ、この時代に日本でも世界基準の知識や技術があった可能性がある。
【写真】 弥生、古墳時代に辰砂を採掘していた若杉山辰砂採掘遺跡で行われた説明会=1月、徳島県阿南市(同市役所提供)