タイパの悪い国会
2024年2月15日
NHK大河ドラマの効果で、書店に行くと紫式部や源氏物語に関する特設コーナーが目に付く。その中に「紫式部の超大作をイッキ読み!」「全54帖のあらすじがサクッとわかる!」と、帯に記された本が。
思わず買った。看板に偽りなし。「超」が付く長編がわずか127ページに。しかも登場人物の相関図入りで分かりやすい。時間の効率を意味する「タイパ(タイムパフォーマンスの略)」を重視し映画なども早送りで見る若い人にとっては格好の本といえよう。
一方で2011年に取材した宮崎市内の女性4人のグループを思い出す。当時みな60代。月に1度、源氏物語を読む会を開き、16年かけて全54帖を読破した。その最後の回に立ち会わせてもらったのだが、読み終えた瞬間の4人の女性の充実感にあふれた顔といったら―。
400字詰め原稿用紙換算で約2500枚の分量。「須磨(すま)源氏」といって第12帖の「須磨」あたりで読むのを断念するという言葉があるくらいだ。それをはしょることなく完読した達成感は、タイパ重視では決して味わえまい。もちろんタイパ重視がすべて悪いわけではない。必要な場合もあろう。
現在開かれている衆院予算委。多くの時間が裏金事件や文科相の旧統一教会側による選挙支援疑惑に割かれる。どちらも大事だが、疑惑がなければ議題にせずにすんだ。重要な課題は他にも山積しているのに。中継を見ていて思わずつぶやく。「タイパが…」
思わず買った。看板に偽りなし。「超」が付く長編がわずか127ページに。しかも登場人物の相関図入りで分かりやすい。時間の効率を意味する「タイパ(タイムパフォーマンスの略)」を重視し映画なども早送りで見る若い人にとっては格好の本といえよう。
一方で2011年に取材した宮崎市内の女性4人のグループを思い出す。当時みな60代。月に1度、源氏物語を読む会を開き、16年かけて全54帖を読破した。その最後の回に立ち会わせてもらったのだが、読み終えた瞬間の4人の女性の充実感にあふれた顔といったら―。
400字詰め原稿用紙換算で約2500枚の分量。「須磨(すま)源氏」といって第12帖の「須磨」あたりで読むのを断念するという言葉があるくらいだ。それをはしょることなく完読した達成感は、タイパ重視では決して味わえまい。もちろんタイパ重視がすべて悪いわけではない。必要な場合もあろう。
現在開かれている衆院予算委。多くの時間が裏金事件や文科相の旧統一教会側による選挙支援疑惑に割かれる。どちらも大事だが、疑惑がなければ議題にせずにすんだ。重要な課題は他にも山積しているのに。中継を見ていて思わずつぶやく。「タイパが…」