ライブが始まる直前に相方が行方不明になったお笑い芸人。１人で舞台に立ち苦し紛れに「一発ギャグをやります」。走りだすそぶりを見せ「ホップ、ステップ…」、いきなり動きを止めて「ストップ！」。

　会場は何とも言えない微妙な空気に包まれて…。２００９年に公開された、宮藤官九郎さん脚本、阿部サダヲさん主演の映画「なくもんか」の一場面。かなり”イタい”シーンだ。言うまでもなく「ホップ、ステップ」とくれば次に来るのは「ジャンプ」である。

　政府が昨年末に閣議決定した「こども未来戦略」。柱の一つが、３人以上の子どもを育てる「多子世帯」の大学無償化だ。これ自体を否定するわけではないが、第１子すら諦めざるを得ない世帯、それ以前に結婚したくても経済的にできない人が多いといった現実がある。

　そうしたこの国の少子化の最大要因への抜本的対策も十分に講じなければならない。そこの部分が十分でない中での「第３子」うんぬんというのは、いわばホップもステップも飛び越してのいきなりのジャンプに等しい。これでは今の深刻な少子化の流れに”ストップ”をかけることは難しかろう。

　きょうは「人口調査記念日」。１８７２（明治５）年のこの日、日本で初めて全国戸籍調査が実施された。当時の人口は３３１１万８２５人だったそうだ。２１００年には人口が６３００万人になるという。明治５年の倍だが、現在と比べると約半分になる。