七五三の木
2023年11月15日

よくアケビと間違われる。どちらもアケビ科のつる植物なので確かに似ている。アケビは秋になると葉が落ちて実が裂けるが、ムベは常緑のまま。少し小さい実は裂けない。ほっておくと熟して地面に落ちるだけだ。ムベの実も食べられるのでしっかり収穫した。
半分に切ってスプーンで果肉をいただく。アケビ同様ゼリー状の果肉はほんのりと甘く、なかなかおいしい。ただ種が多く、きちんと食べ切れた感じがしない。先日、霧島の野歩きをした時ムベの実をたくさん見かけた。里山でもよく見るので割と簡単に手に入りそうだ。
昔は自生地が限定されていたのだろう。天智天皇が蒲生野(滋賀県)へ狩りに出かけた際、出会った老夫婦に長命の理由を尋ねると「これを食べているからです」と不思議な果物を差し出された。天皇が食べて「むべなるかな」(もっともなことだ)と語ったため、実の名がそのままムベになったとか。
ムベはまた「七五三の木」とも呼ばれる。芽が出た時は三つ葉、次は五つ葉、そして七つ葉。成長に合わせて、陰陽道で縁起のよい奇数で葉数が増えていくからという。長寿とともに子どもの成長を願って、今日辺り記念樹として植えるのもいいかもしれない。