そろそろ帰り着くころだろうか。９月２３日付「旅のひとこと」に登場した新潟市のウェブデザイナー・本間太希さん（２６）。昨年、血糖値を下げるインスリンが分泌されない「１型糖尿病」と診断されたという。

　糖尿病についての情報を集める過程でＳＮＳでのつながりなどに背中を押され、この病気に対する社会の理解を深めてもらおうと自転車での日本一周を計画。今年６月に地元を出発し、旅の動画をＳＮＳで発信しながら１１月中のゴールを目指す中で本県を訪れた。

　「糖尿病は自業自得」といった偏見にもさらされ、つらい時期を過ごしたこともあったという。きょうの世界糖尿病デーにちなんで、おととい宮崎市で開催された県民公開講座。この中での講話によると、約２千年前の中国の古医学書にも、糖尿病とおぼしき記述がある。

　また「この世をば我が世とぞ思ふ望月の―」の歌で知られる平安時代の貴族・藤原道長も糖尿病だったという。飽食の時代ではなくともあった糖尿病。むろん偏った食事や運動不足など生活習慣に起因するものもある。それらも含め、まずは正しい知識を持つことが大事であることはいうまでもない。

　カナダの医師によってインスリンの発見が報告されたのは１９２１年のきょうである。１世紀の時を経て、糖尿病に関する情報は格段に増えた。きょうを挟む１週間（１２～１８日）は全国糖尿病週間でもある。予防法も含めてそうした情報に積極的に触れたい。