アリスの名曲「秋止符」の動画に元乃木坂４６のメンバー白石麻衣さんが出ていて驚いた。わりと最近作られたもののようだ。４４年も昔の曲と、今人気のタレントの”コラボ”だが、違和感はなく新鮮だった。

　「あの夏の日がなかったら楽しい日々が続いたのに」の歌詞が秀逸だ。聴き手の想像が膨らむ余地がたくさんある一節だが、個人的には初めて聴いたのが”男女の機微”など分からぬ中学時代ゆえ「恋人が海か何かの事故で亡くなった」と、勝手に解釈していた。

　この「秋止符」はそうではないだろうが「海での死」を匂わせるかのような歌は結構ある。３０年ほど前にトレンディードラマの挿入歌でヒットしたＫＩＸ-Ｓ（キックス）という女性２人組の「また逢える…」には「あの冬の日があなたの影を一瞬にして海に消したの」という歌詞が。

　森田童子さんの「ぼくのせいですか」に至っては「去年の夏にあなたが海で死んだのは海のせいですか」と、より直接的だ。きのう気象庁が「九州南部が梅雨明けしたとみられる」と発表した。今年は二十四節気の「大暑」（きのう）を梅雨の中で迎えるのかと思っていたが同じ日になったようだ。

　多くの学校では夏休みに入った。久々に日常が戻った夏。大いに満喫したいが、一方で夏は海だけでなく川、山と至る所に危険が潜んでいるのも事実。くれぐれも注意を。「あの夏の日がなかったら」などと思わず、秋に楽しい思い出だけを振り返られるように。