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国会閉会後のマイナ問題

2023年6月22日
 「だのになぜ 歯をくいしばり君は行(ゆ)くのか そんなにしてまで」―と、思わず「若者たち」を口ずさんでしまった。「ザ・ブロードサイド・フォー」の1966年のヒット曲で、音楽の教科書にも載った。

 この歌を思い出したのは、一連のマイナンバーカードについてのニュースを改めて振り返ったから。おとといは、同姓同名の別人に交付して使用された事案や、障害者手帳情報のひも付けミスなどが新たに判明。相次ぐトラブルはいつ果てるともしれない状況だ。

 そんな中にあっても、まあ別に「歯を食いしばって」はいないだろうが「来年秋に健康保険証を廃止してマイナカードに一本化する」ことに遮二無二(しゃにむに)突き進む政府である。17、18日に共同通信社が行った全国電話世論調査では「延期や撤回を求める」が72・1%に上った。

 さらにマイナカードの活用拡大について71・6%が「(ある程度も含め)不安」と答えた。前述の二つのトラブルが新たに判明したまさにその日「(健康保険証のマイナカードへの)一本化は国民にとってさまざまなメリットがある」と述べた松野博一官房長官。だが今はまだその前段の話である。

 現行の健康保険証に不都合があるわけではない。「だのになぜ、そんなにしてまで」の疑問が尽きぬマイナ問題。国会が閉幕した昨日、マイナンバーに関する省庁横断の「総点検本部」の初会合が開かれた。ぜひ「期限ありき」でない地に足の着いた検証を。

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