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血や肉になるもの

2022年12月20日
 「血や肉になるもの。○○、××…」。小学生だった半世紀前、給食時に流れるいわゆる「お昼の放送」で、放送委員の児童が毎日読み上げていた。その日の食材が「体にどういいのか」についての説明だ。

 当時は「ナフキン」と呼んでいたが、食事中、机の上に敷くビニール製のランチョンマットにも円形の「5大栄養素一覧表」が書かれていて、放送内容を目で確認することができた。とはいえ、低学年のころは食べることに懸命で、きちんと見ていなかったが…。

 思えばこれも今で言う「食育」の一環だったのだろう。記憶が正しければ、当時は食に関する教育といえば、この毎日のお昼の放送と「給食のおばちゃん」への感謝イベントぐらいだった気がする。それに比べれば、今は子どもたちが食について学ぶ機会も格段に増えた。

 そんな中、JA宮崎中央が、管内の認可保育施設167カ所に食育をテーマにした絵本を贈る取り組みを始めた。児童でも理解しやすいように、物語形式で家畜の命を頂く尊さや、およそ20種類の野菜の育ち方などを学べる内容となっている。未就学児であっても必ずや何かを感じ取ることだろう。

 120年ほど前に「食道楽(くいどうらく)」という小説を書いた村井弦斎という人は「知育、徳育、体育以上に食育が大切」と言い切っている。本紙の過去記事を見ても、実に多くの取り組みがなされてきた。その一つ一つがまさに子どもたちの”血肉”となっているだろう。

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