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美辞麗句ではなく

2022年8月6日
 「幸せについてコメントすれば あたりさわりのない美辞麗句」―。ずいぶん昔の話だがシンガー・ソングライターの岡村孝子さんのアルバムに収録されていた曲で、この「美辞麗句」という言葉を知った。

 読んで字のごとく「美しく飾った言葉や文句」という意味だ。構成する文字だけを見ると美しい四字熟語なのだが「美辞麗句を並べる」というように、いい意味で使われることは、まずない。辞書によっては「巧みにうわべを美しく飾った言葉」とあるくらいだ。

 岡村さんをまねて「平和についてコメントすれば」どうだろう。「核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け…」「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードし…」。これらは過去の広島の原爆死没者慰霊式・平和祈念式での歴代首相あいさつの一部だ。

 こうした力強い決意の言葉も、しっかりとした行動が伴わなければ、まさに「美辞麗句」と化してしまう。先日の核拡散防止条約(NPT)再検討会議。岸田文雄首相は、演説で手製の折り鶴を両手に持ち「志を同じくする世界中の皆さまとともに核兵器のない世界に向け歩みを進める」と述べた。

 その岸田首相は、きょう広島市で行われる慰霊式・平和祈念式で初めてのあいさつをする。「広島出身」というバックボーンを持つ岸田首相である。きれいな言葉以上に、深い思いのこもった”自身の言葉”を聞きたい。もちろん、その後は行動あるのみだ。

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