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カメは福をもたらすか

2022年8月3日
 古代日本でカメは神霊が宿る動物とされた。特に本県では、日向神話における海幸山幸物語の影響で、アカウミガメはトヨタマヒメの使いとして今も大切にされている。産卵地とともに県指定天然記念物だ。

 「宮崎県謎解き散歩」(永井哲雄編著)によると、古代には特にめでたい白カメがしばしば出現。奈良時代だけで16回報告されて「霊亀」「神亀」「宝亀」など年号が改元された。神護景雲2(768)年には日向国宮崎郡の大伴人益(おおとものひとます)が白カメを朝廷に献上している。

 日向国や宮崎郡はその年の税である調庸が免除されただけでなく、人益は位階や報奨を与えられているから、カメはまさに福をもたらす存在だったのだろう。ちなみにお隣の肥後国からも4件献上があった。当時、南九州はアカウミガメの一大産卵地だったことが分かる。

 先月だが、沖縄県・久米島の海岸付近で、絶滅危惧種のアオウミガメ30匹以上が死んでいたり瀕死だったりの状態で見つかったという記事はショッキングだった。その後、地元漁師が関与していたことが判明。以前からカメが網を損傷したり、養殖中の海藻を食べたりするため危害を加えたようだ。

 自らの判断による捕獲や殺傷は当然許されない。ただ保護すべき動物によって生活が脅かされるなら、関係機関が十分対策を講じ、場合によっては補償も検討すべきだろう。実情に応じて手厚い保護策を図れば、カメもいつか恩返ししてくれるかもしれない。

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