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快挙の連鎖

2022年6月20日
 ずいぶん前だが、小欄でロジャー・バニスターという英国の陸上選手を紹介したことがある。1954年に、男子1マイル(約1609メートル)走で3分59秒4の記録を出し、史上初めて4分の壁を打ち破った選手。

 彼の最大の功績は「人間の可能性を広げた」ことだ。当時4分の壁を破ることは人類には不可能といわれていた。それをやってみせたことで、その後、次々と3分台で走る選手が現れた。もしも、バニスター選手が「突破」していなければ実現していただろうか。

 不可能とされることも、一人が一度でも成功させれば「他の人にもできること」になり、それが他者の意識にも影響して連鎖を生むのではないか。プロ野球ロッテの佐々木朗希投手が4月「1試合と8イニング完全試合」という偉業をなしえたことが、冒頭の話と重なる。

 その後わずか2カ月余りの間に2人の投手がノーヒットノーランを達成。そしておととい、オリックスの山本由伸投手(都城高出身)が「今年4人目」の偉業を成し遂げた。150キロ台の直球を軸に9奪三振の好投。五回に四球を一つ与えただけだった。1シーズンに4投手が記録したのは79年ぶり。

 昨年は最多勝など4冠を獲得。東京五輪では日本を「金」に導き、宮日スポーツ賞の特別賞も受賞した。今回の快挙は「第二の故郷」という都城市を含め県民に感動と勇気を与えた。まだ23歳。これからも目の前の「壁」をどんどん壊し続けていってほしい。

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