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やまびこ号の記憶

2022年1月13日
 「1月13日 水曜 本館発9時。やまびこ巡回、最初のスタートである。多くの期待と歓(よろこ)び、そして一抹の不安がないでもない。そのような交錯した空気の中を軽快なテーマソングに乗って巡回地区に向(むか)う」。

 68年前のきょう、県立図書館の移動図書館車「やまびこ」の巡回が始まった。冒頭で紹介したのは当時の記録。初代「やまびこ号」はボンネットバス。2800冊を積んで最初に訪れた延岡市の大野公民館では「待ち受けた多くの男女がどっと押し寄せ…」とある。

 その後も「行く先々で、やまびこは成人式に参列した若人達(わこうどたち)にもみくちゃにされた感じ」(高千穂町、岩戸村)などと記されている。当時、本紙の記者も「試乗記」を掲載。「わっと取り囲む子どもたち。赤ん坊をだっこした小母(おば)さんも『素晴らしいですネ』の連発」―と。

 「やまびこ号」はノンステップバスにまで”進化”を遂げた「6代目」の老朽化に伴い、2016年6月をもって運行を終了。その後は注文があった本を民間業者が年3回、配送する方式になり「やまびこ文庫」として、今も中山間地をはじめとする地方の図書館や学校図書室の充実に寄与している。

 巡回スタート当時、わずかだった県内の図書館・室も、今や45になった。「やまびこ」の歴史を紹介するパネル展は16日まで県立図書館で開催中。終戦から間もない、娯楽が少なかった時代の「やまびこ号」の熱狂的ともいえる歓迎ぶりが目に浮かぶようだ。

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