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あばよルパン

2021年9月12日
 つい先日、早朝に目が覚め、何気なくテレビを付けたら「ドラえもん」をやっていた。もうずいぶんと見ていなかった。「声が大山のぶ代さんでないドラえもん」を見たのは、実はこのときが初めてだった。

 調べたら、次の声優さんに交代して16年もたつという。耳に焼き付いた“あの声”ではないドラえもん。この不思議な感覚は「うちのかみさんがね…」のせりふで有名なコロンボ警部の声が、小池朝雄さんから石田太郎さんに変わったときに味わったのと同じだ。

 作品の登場人物とは違い、生身の俳優や声優は年を取る。時の流れの中で演者が変わっていくのは長寿番組の宿命だろう。そしてまた一人、有名な声優が去っていく。人気アニメ「ルパン三世」のすご腕ガンマン・次元大介を半世紀にわたって演じてきた小林清志さんだ。

 御年88歳。「一生ものの仕事であった」という次元はもちろんのこと、せりふは少なかったものの映画「荒野の七人」でナイフ投げの達人ブリットを演じたジェームズ・コバーンさんの吹き替えも非常に印象深い。個人的には、幼いころに見たアニメ「妖怪人間ベム」のベム役が記憶に残っている。

 本人が出したコメントによると、90歳まで続けたかったらしい。しかし、年齢が及ぼす作品への影響を考えて自ら身を引いた。「ルパン。俺はそろそろずらかるぜ。あばよ」のせりふを残して―。声と同じく、見事なまでに渋くかっこいいその引き際である。

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