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民主主義の危機を思う20年

2021年9月11日
 宮日美展(当時)の審査が終わり、入選者の名簿を何度も読み直していた。ふと職場のテレビを見上げたら、何やら高層ビルが炎上している。映画のワンシーンと思った。いや実況の雰囲気から現実らしい。

 次の瞬間、隣の高層ビルに旅客機が衝突。尋常ではない事件が進行していると分かって、血の気が引いた。2001年9月11日の米中枢同時テロ。あれから20年。今思えば、事件は米国とテロ勢力との争いにとどまらず、世界の枠組みを崩壊させるのろしだった。

 アフガニスタンからの米軍撤退が象徴するように、この20年で米国の相対的な地位が低下した。中国が台頭し、たがが外れたように全体主義の国家が世界中に次々と誕生。経済や軍事など国際的な競争の激化によって権力の一極集中が進み、民主主義が危機的状況にある。

 不安を加速させるのが世界を襲っている新型コロナウイルスの問題だ。意思決定に時間がかかる民主国家を尻目に、独裁的な国家は徹底的な移動制限、行動把握など強権を発動。抑え込みでは表向き成功した。見習う点もあるが、それらは国民の人権を無視して進められたことを忘れてはならない。

 同時テロ20年を機に、自由や人権の価値を再確認したい。守勢に立つ民主主義を立て直すには、大上段に構える必要はない。まず身近な選挙に参加するのが基本。地方からの1票の意思が世界のルールを正す、と信じる。まず明日は、えびの市長選投票日だ。

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