ホーム くろしお

自殺を防ぐために

2021年9月10日
 初めて「声掛け事案」なる言葉を聞いたとき、悪い意味とは思わなかった。これはいわば防犯用語で、口実をつくって子どもや女性に声を掛ける行為。性犯罪や誘拐などの凶悪犯罪につながる可能性がある。

 しかし、その言葉を初めて耳にしたときは、登下校中の児童らに地域住民が「気を付けてね」や「おかえり」といった言葉を掛けることだと勘違いした。犯罪の声掛けはむろん絶対に駄目だが、相手を気遣う「声掛け」は今、コロナ禍の中で重要さを増している。

 県は、自殺予防の取り組みの一環として「ひなたのキズナ”声かけ”運動」を展開中だ。厚生労働省によると、本県の2020年の自殺者数は217人で、前年に比べ27人増加。また、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は20・5人で、これは全国ワースト2だ。

 きょうは「世界自殺予防デー」。そして16日までの1週間は自殺予防週間だ。県は、特に増加が目立つ女性や若者を対象にした啓発活動に力を入れている。県精神保健福祉センターは13日まで宮崎市の宮交シティで、うつ病への理解を深めるものを含め自殺防止のための啓発パネルを展示している。

 コロナ禍で、みなが自分のことで精いっぱいかもしれないが、それでも身近な人への目配りを大事にしたい。「どうしたの?」「大丈夫?」といったひと言でもいい。相手の心に寄り添おうとしていることが伝われば、それによって変わる未来もあるだろう。

このほかの記事

過去の記事(月別)