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アボカドは難しい

2021年7月20日
 アボカドが気になる。出回ったのはそう昔ではないが、独特な食感と高い栄養価から今はすしネタやサラダの具材として人気だ。分類上は野菜でなく果物らしい。今もアボガドと間違って言ってしまうが―。

 太古の巨大生物の胃袋を満たし、原産地のメキシコ南西部以外では知られていなかった果物がなぜ世界中で愛されるようになったのか、「アボカドの歴史」(ジェフ・ミラー著)という近刊から教えられた。最初に世界に広めたのは植民地時代のスペイン人という。

 栽培が容易で栄養のあるアボカドは、サトウキビ園で働く奴隷の食物だった。今では、ちょっとおしゃれな食材だけに驚きだ。日本ではほとんど輸入物だが、本県でも宮崎銀行が設立した地域商社が栽培を始め、昨年初めて出荷するなど、県産アボカドの普及が楽しみだ。

 村上春樹さんに「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」というエッセーがある。アボカドの何が難しいのか。それは食べ頃の見極め。確かに皮が堅いので、押しても中身を判別できない。ハワイの果物店で「これはあと3日」「こっちは明日ね」と熟れ具合をほぼ完璧に言い当てる女性がいたそうだ。

 こちらも機が熟したか、見極めが難しい。衆院の解散時期。9月前半が有力だったが、東京都議選での自民不発、コロナに揺れる東京五輪などで菅義偉首相は悩むはずだ。政治は生もの。開けないと分からないが、国民の食指が動く争点を野党も用意すべきだ。

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