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ハンガーゲーム

2021年6月11日
 ミャンマーで続くクーデターへの抗議デモ。その映像が映し出されるたび目にする、人さし指と中指、薬指の3本を突き立てる「ハンドサイン」。その基になった米国の映画「ハンガー・ゲーム」を最近見た。

 「パネム」という名の独裁国家になった近未来の米国が舞台。反乱防止のため年に1度、12~18歳の若い男女24人が最後の1人になるまで殺し合うゲームに参加させられるというストーリーだ。コロナ禍により気分が上向かない中で見るには、ややしんどかった。

 だが、このパネムのようなディストピア(反理想郷)は、劇中だけのものではない。ミャンマーのデモで、初めてこのハンドサインを見た時は、少なくともまだ市民に死者は出ていなかった。しかしその後、軍によって多くの人々が弾圧され、犠牲者は800人を超えた。

 最近では、サッカーW杯のアジア2次予選の日本戦で、試合前の国歌斉唱時に1人の選手がこのハンドサインを見せた。これまでにおよそ10人の選手がミャンマー代表への招集を拒否。「民主主義が戻るまでストリートサッカーしかやらない」と、ドイツのメディアに語った主力選手もいるという。

 くだんの映画は4作目でハッピーエンドとなるが、それまでに多くの命が失われすっきり感はなかった。同国の軍政がきのう、アウン・サン・スー・チー氏を汚職容疑で追訴したと発表するなど出口は見えぬが、市民の血をもうこれ以上流させてはならない。

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