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剣道とフェンシング

2021年6月6日
 日本の武士道、西洋の騎士道をそれぞれ象徴する剣道とフェンシング。剣を交えて戦う点では似る。とはいえスポーツだから、どちらが強いか比較しても意味ないが、後者の方が実戦的と話す競技者は多い。

 この人は選手時代、いわゆる攻撃型だったのだろう。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長。1976年モントリオールオリンピックにおけるフェンシング・フルーレ団体の西ドイツ代表で金メダリスト。67歳の今も精神的な突進力は盛んで、行動的だ。

 先月の訪日は中止になったが、課題があれば積極的に出掛けていく姿勢は変わらない。7月23日の開幕が迫る東京五輪。コロナの感染拡大への不安は強いが、バッハ会長らIOCの猛烈な突きに押される格好で、日本政府も五輪関係者も開催に向けた動きを加速している。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、収まらない感染状況から「普通は(開催は)ない」と言及。開催には厳しい管理体制を求めた。国民の関心が盛り上がらない中、ボランティア約8万人のうち約1万人が辞退したことも明らかになり、異様な状況が続くまま開幕が近づく。

 IOCの強気に押され気味の日本だが、剣道とフェンシングに共通するのは間合いの大切さ。関係機関の利害を見極め、感染状況を見誤らず、選手、国民最優先の着地点を見いだしてほしい。「剣法発祥の地」(日南市・鵜戸神宮)を持つ本県からの願いだ。

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