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デモ隊の顔

2021年4月7日
 以前はあまり身近でなかった国だが、数年前、県内に留学しているミャンマーからの大学院生と知り合った。家柄が良く、日本語が上手。知人を介して買い物を手伝ったくらいだが、大変親しみやすかった。

 その後まもなく帰国して、連絡も取れなくなった。ミャンマー国軍がクーデターを起こし、与党の指導者アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らを拘束して2カ月。抗議デモへの弾圧で多くの死傷者が出ているとの報道に接するたびに、安否を心配している。

 県内にはもっと交際が深く、現地のことを家族のように気遣う人は少なくないはずだ。特に交流が活発な延岡市。同国からの経営者が頻繁に研修に訪れて、技能実習生も働く。市民レベルでスポーツ・文化交流も進み、東京五輪・パラリンピックのホストタウンでもある。

 同国からの映像には背筋が凍る思いだ。治安当局者が、平和的に行進するデモ隊を銃撃する場面もある。民衆はクーデターに抗議し、民政の回復を求めただけだ。弾圧で子どもも犠牲になっている。こんなことが許されていいはずがないが、国連安全保障理事会も制裁警告には踏み切れないままだ。

 圧力を強めれば軍事政権が中国になびく恐れがあり、日本は説得を試みるが流血を止められない。国際社会が動くことを信じてデモを続ける民衆の勇気に感銘しつつも、デモ隊の中に知ってる顔を探して「どうか命は大事にして」という願いも抑えきれない。

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